あの歌が聞こえてくる
家には自転車がなかった。多分磯に自転車を置いてきたのだろう。今日も海はサーファーや海水浴客で溢れている。蝉も気が狂ったように鳴いている。気が付くとトシとてつぼうを探していた。「いるわけねーか!なにしてんだ俺!?かーえろ!」途中レンタルビデオ屋によってみた。*恋愛ものコーナー*熱い友情ものコーナー*そんなビデオがよく目に入ってくる。しかしどれも今は見る気にはならなかった。はっきり言って暇・・・。どうしよう・・あ・とおるさんにお礼言わなきゃ!昨日電話番号教えてもらったんだよな。仕事かな?っていうか仕事なにしてんだろ?「もしもし・・・とおるさん?」「もしもーし!あら!マルちゃーん!昨日は楽しかったね!あんた結構飲めるのね!あ・そうそう自転車、磯に置いてあるわよ。あんたフラフラなのに乗って帰るって言うから無理だからって、サドルだけ持たしたのよ!」「とおるさん昨日はありがとうございました。楽しかったです。ごめんなさい。酔っ払ちゃって・・・それとお金は・・・」「なに言ってんのよ!かしこまって!とおる姉、マルちゃんの仲じゃない!それに、あたしが楽しんだんだから、お金なんっていいのよ!そのかし将来倍返しだからね。ところで、仲直りはしたの?」「えっ・・」仲直り?なんでしってんの?俺言ったっけ?「いやまだ・・・。」「なにしてんのよ!男なんだから女みたいな喧嘩してんじゃないよ!殴りあえばいいのよ!そういうものよ!男なんって。私が言っても説得力ないけど・・・キャハ!んな感じだからさ、また行こうね!あんたの歌声よかったよ!ソウルフルだったわよ!頑張りなさい!マルちゃんなら大丈夫だから!なんかあったらいつでも姉ちゃんに電話してきなさい!バイバイ~!ジョリ!」ジョリ?あ・髭の音か!ありがと!とおるの兄貴・・・あーそうだよな!こんなのめんどくせーよ!てつぼうの家に行こう。直接謝ろう。
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