あの歌が聞こえてくる
が、それには別の理由があった。そのリサイクルショップには小学校四年生のときに隣の席になって恋をした、かの青山美土里(ミドリちゃん)が働いていて、いかにも挫折した自分の姿を見せるようでやだった。ミドリちゃんとは高校二年生の頃に駅で会い、少し話をした事があったが、むこうはあまり俺の印象というものがあまりないと思う・・・。クラスのマドンナ的存在だったミドリちゃんは、この町には似つかないほど上品な整った顔をしていた。一時アメリカに留学したという噂を聞いたが、今年の春にできたばかりの【リサイクルショプ金替(カネガエ)】でバイトをしていた。そこで、三年振りの再会をはたしたのだった。ミドリちゃんはまたいっそう可愛さに磨きがかかっていてた。この町にはひとつしかそういった類の店がなかった。ましてや、てつぼうに代わりに持っていって貰ったとしても、俺の事を有り余るほどの親愛を持ってばらしてくれるに間違いないし、車の免許を持ってない俺には隣町のリサイクルショップに持っていくのはちょっと面倒だった。こんな俺にもよーく考えてみると唯一続いている事が一つだけあった。それは映画鑑賞であった。そんな映画好きでロマンチストの俺は今年の夏に人生を賭けた大告白を計画していた。もちろんミドリちゃんへの愛の告白だ!
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