夜をこえて朝を想う
「土曜日…どこか行きたいとこ、決まったか?」

そのまま普通に話し始めた彼に

「んー…日向。」

日陰の女に疲れたから。

自虐的に言った。

「なんだ、それ?山とか?」

「アウトドア、似合わないねー。」

想像もつかない。私と行くなんて。

奥さんと子どもを連れてなら、想像出来る。

「悪かったな。行きたいなら、そうしようか?」

「…はぁ、おいし。」

彼の買ってくれた、なんちゃらフラペチーノ。甘い。でも、苦い。最後に苦味が残る。

暑いくらいの今日にピッタリ。

私の気分とか、好みは把握してくれてるのにな。

「湊…?」

「何?」

好きだな。



心配そうな、この顔も

そっと私の手に触れる、温かで大きな手も。

そんな、優しさも。

前を向いて、涙を治めるのに集中した。

昼休みが短くて良かった。

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