夜をこえて朝を想う
思い返せば、初めて会った日から
湊は俺と…続ける気はなかった。
それが、なぜなのかは分からなかったが。
YESともNOとも言わなかった。
一夜を過ごす時も、彼女だと…言った夜も。
言わなかった。
どちらとも。
何も知らなかった。
その事をこうなって痛感する。
携帯番号も。
会社の場所も。
自宅も。
彼女の苗字さえも。
ただ、俺を好きだと言った
彼女の気持ちは疑いようが、なかったのに。
湊。
知っているのは、その名前だけだ。
偶然、近くに越したわけじゃない。
偶然、近くだった家を越したのだ。
俺から、離れる為に。
『いい。明るくなってるし、電車も動いてる。送ってると遅刻しちゃうでしょ。部長。』
あの日、そう言った。
…そこに、家があるのに。
教える気がなかったんだ。本当は。
引っ越しが決まったから、教えた。
携帯も、家も。
嘘をついてまで。
そこまでして
こんな最後を迎えないといけない理由が
分からなかった。
他の女とホテルから出てきた事が彼女に伝わったのは…今週。
彼女が引っ越したのは先月。
だとすると、理由はそれじゃない。
心変わりなら、そう言えばいい。
ここまで…
何だよ。
ソファーに腰掛け、頭を抱えた。
何を考えてたんだ
湊…
湊との…先を考えてた
その気持ちが虚しく
澱む。
好きだと言った。
名前を呼んで。
それは、別れの言葉だったのか。
儚い彼女は
夢か幻だったのかと思うほど
何も残さなかった。
俺の心の痛み以外は。
湊は俺と…続ける気はなかった。
それが、なぜなのかは分からなかったが。
YESともNOとも言わなかった。
一夜を過ごす時も、彼女だと…言った夜も。
言わなかった。
どちらとも。
何も知らなかった。
その事をこうなって痛感する。
携帯番号も。
会社の場所も。
自宅も。
彼女の苗字さえも。
ただ、俺を好きだと言った
彼女の気持ちは疑いようが、なかったのに。
湊。
知っているのは、その名前だけだ。
偶然、近くに越したわけじゃない。
偶然、近くだった家を越したのだ。
俺から、離れる為に。
『いい。明るくなってるし、電車も動いてる。送ってると遅刻しちゃうでしょ。部長。』
あの日、そう言った。
…そこに、家があるのに。
教える気がなかったんだ。本当は。
引っ越しが決まったから、教えた。
携帯も、家も。
嘘をついてまで。
そこまでして
こんな最後を迎えないといけない理由が
分からなかった。
他の女とホテルから出てきた事が彼女に伝わったのは…今週。
彼女が引っ越したのは先月。
だとすると、理由はそれじゃない。
心変わりなら、そう言えばいい。
ここまで…
何だよ。
ソファーに腰掛け、頭を抱えた。
何を考えてたんだ
湊…
湊との…先を考えてた
その気持ちが虚しく
澱む。
好きだと言った。
名前を呼んで。
それは、別れの言葉だったのか。
儚い彼女は
夢か幻だったのかと思うほど
何も残さなかった。
俺の心の痛み以外は。