夜をこえて朝を想う

side M

俊之と出会って

愛を知ってから、驚く程に全てが順調だった。

やりたい仕事、人間関係、それに…恋人と過ごすプライベート。

色んな人の後押しがあって、色んな人に支えられて、今がある。

俊之がそう言った意味が、今なら分かる。

私が、誰かを支えたことも。

私が、私らしく要られる。

私が私らしく要られるように、彼はいつも優しい目を向けてくれていた。

…私を知ろうと。

ベッドから下りても、愛を語る。

完璧な恋人だった。

なぜ、こんな私を好きなのだろう。

以前なら、そう思っていた私が調子に乗る程に愛してくれた。

愛される幸せを知った。

まわりの人たちが、お似合いだって、言ってくれた。

それが私に、彼の隣にいてもいいのだと思わせてくれた。

勝手に勘違いして、空回りして、大騒ぎして、尚且つ責める私に

「こんな顔でごめん。」

そう言ってくれる。そんな彼に…

ハンカチも手鏡もバッグに入れて持ち歩くくらいの女子力は備えておこうと思う。

恥ずかしくないように。

努力は、する。

たぶん。

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