夜をこえて朝を想う
彼女をじっと見た。

「もっと若くも見えるし…もしかして年上かな?とも思った。…年齢不詳だよね。」

「それは…失礼な感じなのでしょうか?」

ああ、女性に年齢不詳は駄目か。

「いや、褒めてるよ。妖艶だよね。…ただ…とても…綺麗だ。」

彼女を…真っ直ぐに見た。

俄然、興味が出てきたな。

暫くすると彼女が目を逸らした。

「なんで?」

「はい?」

「なんで…逸らしたの?…目。」

「…あまり…男性の目を見ない方がいいって注意を受けたもので…。」

「なんで?」

「惚れる…から。」

ああ、なるほどね。惚れる、じゃなくて

惚れられる。だけどね。

守られてる。彼女。周りに。

鈍感な分、周りが守ってるんだ。

可笑しい。なるほどね。

「なるほど…その注意…男だろ?」

「ええ、まあ。」

それが、彼なのか…他にも、彼女を大切に思ってる男がいるのか。

「賢明だね。」

「え?」

「賢明な判断だ。…それと…酒を飲むなって言った奴もね。」

…彼女は気づいてない。全くね。

仕事上だけではない、

彼女の中身に興味が沸いた。

「じゃあ、俺からも…そうしてほしい…かな。」

分からないか。あんまり、出されると…隙がありすぎるな。

「…結構…狙ってる奴、多いよ。」

「…私を…ですか?」

「そう。」

「まぁ、そうだとしても…」

「恋人…つくらないの?」

「…いえ。…出来ないだけです。」

出来ない?

ああ、思いっきり塩対応だからな。

相手にされてないと、取られるな。

「……。」

「理想が…高い?」

「まさか!ちゃんと…向き合ってくれる人が…いないだけです。

…清水部長は…おモテになるでしょうね。」

「ぶは、ちょっと…おモテになる。とか…」

ギャップが凄いな。

普段のクールな彼女とは。

「ねぇ、部長って止めてくれない?」

プライベートだしな。

それに…もっと取り払いたい。

見てみたい、彼女の本質を。

「…この店でさ…40の部長が、若い綺麗な子連れてたら…イケナイ関係感でちゃうだろ?」

彼女吹き出した。

「根に持ってるのね、40って言った事…。」

「2個差に見えるかな?」

「年上にも見えるって…。」

落ち着いてると思ったからね。

「ねぇ、また…誘っていい?」

もう少し、見てみたいと思った。

プライベートの彼女も。

< 22 / 146 >

この作品をシェア

pagetop