夜をこえて朝を想う
その時、メッセージが届いた。梓から。
良かった、ちゃんと来てくれる。
「梓、ちょっと遅れるって。」
「お茶でもしとくか。」
そう言って、梓の会社が見えるカフェに入った。
「ねぇ、まだ絵…描いてるの?」
梓が好きだった、吉良くんの絵。
「描いてない。あれ以来。」
「へぇ、そうなんだ。うまかったのに。ねぇ、ちょっと描いてみて?」
そう言ってバッグからスケッチブックを出した。
それから、鉛筆も。
分かりやすく、すました顔をした。
吉良くんが、吹き出す。
「お前かよ。」
「待って、小道具出すから。」
そう言って、得意気に…ハンカチを出した。
今日は、持ってきたのよっ!
ああ、でも泣く前に帰るつもり。
「俺のは?」
「洗って、アイロン当てて、忘れた。」
ドンマイ、私。
「はい。」
そう言って描いた絵を渡してくれる。
「早!似顔絵って二割増しで美人に描くのが鉄則だよね?」
「はいはい、元々綺麗ですよ。」
「…上手いね。うん、二割増し…ってヤダ!そっち!?」
「ハンカチをタオルにグレードアップ。」
持っていたハンカチを、タオルに描き換えられていた。
「次、梓描いて。」
そう言った。
「ああ、うん。」
さっきより時間をかけて描く。
私を描いた時とは違う、真剣な顔。
…そして、優しい顔。
この顔、梓にも見せてあげたいくらい。
「はい。」
そう言って渡された絵は…
胸が痛くなる。
二人を思って。
同時に暖かくも。
彼の…想いに。
「馬鹿だなぁ…梓。」
いつかと同じ言葉。
「ちゃんと、見て貰ってたのに。」
「うん。」
「いい男だね、吉良くん。」
本当に、梓って見る目ある。
良かった、ちゃんと来てくれる。
「梓、ちょっと遅れるって。」
「お茶でもしとくか。」
そう言って、梓の会社が見えるカフェに入った。
「ねぇ、まだ絵…描いてるの?」
梓が好きだった、吉良くんの絵。
「描いてない。あれ以来。」
「へぇ、そうなんだ。うまかったのに。ねぇ、ちょっと描いてみて?」
そう言ってバッグからスケッチブックを出した。
それから、鉛筆も。
分かりやすく、すました顔をした。
吉良くんが、吹き出す。
「お前かよ。」
「待って、小道具出すから。」
そう言って、得意気に…ハンカチを出した。
今日は、持ってきたのよっ!
ああ、でも泣く前に帰るつもり。
「俺のは?」
「洗って、アイロン当てて、忘れた。」
ドンマイ、私。
「はい。」
そう言って描いた絵を渡してくれる。
「早!似顔絵って二割増しで美人に描くのが鉄則だよね?」
「はいはい、元々綺麗ですよ。」
「…上手いね。うん、二割増し…ってヤダ!そっち!?」
「ハンカチをタオルにグレードアップ。」
持っていたハンカチを、タオルに描き換えられていた。
「次、梓描いて。」
そう言った。
「ああ、うん。」
さっきより時間をかけて描く。
私を描いた時とは違う、真剣な顔。
…そして、優しい顔。
この顔、梓にも見せてあげたいくらい。
「はい。」
そう言って渡された絵は…
胸が痛くなる。
二人を思って。
同時に暖かくも。
彼の…想いに。
「馬鹿だなぁ…梓。」
いつかと同じ言葉。
「ちゃんと、見て貰ってたのに。」
「うん。」
「いい男だね、吉良くん。」
本当に、梓って見る目ある。