夜をこえて朝を想う
「どーも。」
「さっきの人、すっごい綺麗だね。」
「どーも。」
そう言った吉良くんが、少し照れる。
いや、褒めたのは彼女ですけど、アンタがお礼を言うのか。自分のモノみたいに。
「あはは!分かりやす!!好きなんだ?」
彼女は居ないって言ってたから…まだ…あの人とは。
「そうだよ。」
「面食い!!」
「そうかな。」
「梓も可愛いもん。」
彼の描いた梓は本当可愛い。彼の目には、こんなにも可愛く見えてた。
「前を向いてるんだね、吉良くん。」
「3年掛かったけどね。」
「梓も前を…」
「その為に、今日来たんだ。」
「1つ、安心出来る話をするね。」
そう言った。
もっと、彼が安心して前を向けるように。
「梓が出勤してるか、教えてくれる人ね、男性だよ。」
「…それって…」
「うん、彼は…逆にプライベートで梓が無事か…私に聞いてくるの。とってもいい人よ。」
「…そっか。」
彼はホッとした顔で優しく笑った。
ちょうど、梓からメッセージ。
「あ、梓終わったって。」
カフェを出て、梓の職場へと向かった。
「お待たせ、ごめんね。」
そう言って梓が会社から出てきた。
「ん、行こうか。」
店に入り、席に着くと
他愛もない話を始めた。
「頭髪の寂しい人ってさ…シャンプーで洗うのかな?石鹸かな?…つまり…頭皮をボディと見なすのか、それとも…プライドを優先してシャンプー…」
「…聞こえるよ、湊。」
名残雪くらいの頭髪の店員が、前を通りすぎる。
「吉良くん、遺伝子的に…」
イケメンでも禿げたらおかしいのかな?
「ない。大丈夫。」
「あらあら、今、そんなに遊ばせてたら…どうなるかわかりませんよ。」
「遊ばせてないわ!」
「ほら、その顔で“遊ぶ”とか、言わない。」
「お前!」
梓は、クスクス笑って
「いつの間に、仲良くなったの?」
そう言った。
「あ、そうだ。私…遊びに付き合ってる場合じゃなかった。」
立ち上がって言った。
「じゃ、この辺でドロンさせて頂きます。」
「オッサンか!」
「え、ちょっと…湊…。」
茶化していないと、顔に出てしまう。
そう、私は必要ない。
ここにも。
これが終わると、会うこともなくなる。
私は、梓と一緒に居たい。
だからこそ、閉じ込めた想いを。
仄かに灯る、小さなものだ。
少しの…ため息で消えてしまうような…
私のため息で消えたらいい。
「さっきの人、すっごい綺麗だね。」
「どーも。」
そう言った吉良くんが、少し照れる。
いや、褒めたのは彼女ですけど、アンタがお礼を言うのか。自分のモノみたいに。
「あはは!分かりやす!!好きなんだ?」
彼女は居ないって言ってたから…まだ…あの人とは。
「そうだよ。」
「面食い!!」
「そうかな。」
「梓も可愛いもん。」
彼の描いた梓は本当可愛い。彼の目には、こんなにも可愛く見えてた。
「前を向いてるんだね、吉良くん。」
「3年掛かったけどね。」
「梓も前を…」
「その為に、今日来たんだ。」
「1つ、安心出来る話をするね。」
そう言った。
もっと、彼が安心して前を向けるように。
「梓が出勤してるか、教えてくれる人ね、男性だよ。」
「…それって…」
「うん、彼は…逆にプライベートで梓が無事か…私に聞いてくるの。とってもいい人よ。」
「…そっか。」
彼はホッとした顔で優しく笑った。
ちょうど、梓からメッセージ。
「あ、梓終わったって。」
カフェを出て、梓の職場へと向かった。
「お待たせ、ごめんね。」
そう言って梓が会社から出てきた。
「ん、行こうか。」
店に入り、席に着くと
他愛もない話を始めた。
「頭髪の寂しい人ってさ…シャンプーで洗うのかな?石鹸かな?…つまり…頭皮をボディと見なすのか、それとも…プライドを優先してシャンプー…」
「…聞こえるよ、湊。」
名残雪くらいの頭髪の店員が、前を通りすぎる。
「吉良くん、遺伝子的に…」
イケメンでも禿げたらおかしいのかな?
「ない。大丈夫。」
「あらあら、今、そんなに遊ばせてたら…どうなるかわかりませんよ。」
「遊ばせてないわ!」
「ほら、その顔で“遊ぶ”とか、言わない。」
「お前!」
梓は、クスクス笑って
「いつの間に、仲良くなったの?」
そう言った。
「あ、そうだ。私…遊びに付き合ってる場合じゃなかった。」
立ち上がって言った。
「じゃ、この辺でドロンさせて頂きます。」
「オッサンか!」
「え、ちょっと…湊…。」
茶化していないと、顔に出てしまう。
そう、私は必要ない。
ここにも。
これが終わると、会うこともなくなる。
私は、梓と一緒に居たい。
だからこそ、閉じ込めた想いを。
仄かに灯る、小さなものだ。
少しの…ため息で消えてしまうような…
私のため息で消えたらいい。