夜をこえて朝を想う
去年で最後、そう言われたが…

都合で二人揃って来て貰った。

…うん

やっぱり、お似合いだね。

彼はそのまま他社員の所へ。

俺と彼女は商談ルーム。

公私混同しないところは、流石で。

見せてやりたいな、うちの社員に。

それと…俺も。見習うべきだな。そう、苦笑いする。

「さて、吉良君の方も終わったかな。待つ間…プライベートな話でもする?」

「ここ、商談ルームですけど。」

「君が言わないと分からないだろ?バレないなら…いいんじゃない?」

「まだ、調子のいい事を言って…聞こえたらどうするの?」

「そんな事言って、麗佳だって聞こえたら困る話したいだろ?」

「俊之さん?バラすわよ?」

「君と…商談ルームをこんな事に使ってるって?」

そう言って、顔を近づけると

目を瞑る。

「…この距離で目を瞑ったら駄目だよ。」

「……。」

意味が分かったのか、真っ赤になった。

「…可愛い。」

「もう!」

「商談ルーム、いいなぁ。いや、残念と言うべきか。」

「そんな事ばっかりしてるんでしょ!」

「まさかぁ、ハジメテですよー。あ、でも吉良君(あっち)も綺麗だからなぁ。彼ともこんなことしてるかもよ?」

「彼、男性は大丈夫だから…」

「ぶっ、いや…大丈夫の意味が違うわ!」

大丈夫だけれども、違うだろ。面白いな。

その時、ドアのノック音とともに

吉良君が入って来た。

「うん、申し訳ない。今日は二人とも来てもらって。」

「いえいえ、ほんと業績いいですもんね。こちら。」

「君たちのお陰だよ。」

「清水部長の、お力ですわ。」

「中条さんでも、誉めるんだ?人を。」

「本当の事であれば。」

「うわ、そうっぽいね。…うーん、じゃあ、ありがとう。誉めてくれて。」

お世辞とか、言えないような真っ直ぐさ。

そんな、彼女に惹かれてるんだ。

彼も。

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