夜をこえて朝を想う
「ごめんなさい。」

麗佳はまた、謝った。

吉良君(あっち)のは、教えないよ?」

いたずらっぽい顔でそう言って、彼女に目配せした。

「ええ、聞こうかと思って。もういっそ、本人に。」

なんだ、ちゃんと考えてるのか。

ストレートで、麗佳らしい。

余計なお世話だったな。

彼女の涙が治まるのを待った。

「ご迷惑を…」

「いいよ、でも…後は…自分で何とかして?

あ、振られたら慰めるから…その時は連絡してくれていいから!」

そう言って笑うと

「じゃ、お疲れ様、中条さん。また来週お願いします。」

そう言って、商談ルームから出た。

「ありがとうございました。清水部長。」

彼女は、そう言った。

あ、来週は吉良君かな?

まぁ、いいか。どちらでも。なんなら、両方でも。

ないか。

両方は今度…プライベートで拝見するとしよう。

そう思っていた。

後は何とかなるだろう…そう。

これ以上はお節介ってやつだ。

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