夜をこえて朝を想う
「君、相当モテるだろ?彼女いるんだっけ。」
プライベートということで、そんな話を振った。
「あー…モテてモテて…。」
そう言って、また笑う。
「…彼女は?」
そこで、彼の顔が少し曇った気がしたが
すぐにまた、生意気そうに笑った。
「いません!」
“特定の”ってやつか。
まぁ、モテるだろうし、若いし、遊びたいか。
それも…悪くないな。
そう思っていると、彼が左手のリングを触った。
ファッションリングではない。
いや、ファッションリングならそもそも仕事にはつけてこないだろう。
「…あれ?結婚…してるのか?」
俺がそう聞くと
「…ええ。」
と、低いトーンで言った。何だ…?
「早いんだな。」
「嘘です。でも、そういうことにしといて下さい。」
「…どういう…」
「ここだけの、話。していいですか?」
そう言って、じっくり俺を見た。
綺麗な目で。
つまり、他言無用ということだろう。
俺を、信用している。そう言うことだ。
「…これ、女避けなんです。僕、女性がダメなんですよね。」
衝撃的な告白。
それは…
まぁ、こんなに綺麗なんだから…そっちでも需要は十分に…
「ゲイではありません。」
可笑しそうに、笑いながらそう言った。
「…えーっと?」
「…数ヶ月前に…彼女と別れまして、その…そこで…トラウマが出来たみたいなんですよね。」
「トラウマ?」
「女性が駄目になったんです。触れない。触られるのも駄目。動悸、鳥肌、吐き気、いや、実際に吐く。とりあえず…駄目なんです。近寄られるのも。…特に迫られるようなのが。」
「彼女が原因で?」
「そうです。」
「…君みたいな男が…」
「いつか、治るかなって思うんで…今は。」
「若いのに…」
「そうですね。でも、触りたいと思う人もいないので…」
女避けしなきゃならないほど
寄っては来るのか。
「分かった。まぁ、治ったら教えて。」
「ありがとうございます。でね、清水部長。」
「何だよ。」
「お願い聞いて貰えます?」
この男は、分かってて言うんだろうか。
立場は俺の方が上だ。
拒否も出来る。
担当を変えてくれと、言うことも。
だけど、“プライベート”俺がそう言った。
その時に、言ってくる賢さ。
それに…俺が断らないだろうと
俺が特別だと言わんばかりに、前もって言った。
“ここだけの話”
上手いな、こいつ。
プライベートということで、そんな話を振った。
「あー…モテてモテて…。」
そう言って、また笑う。
「…彼女は?」
そこで、彼の顔が少し曇った気がしたが
すぐにまた、生意気そうに笑った。
「いません!」
“特定の”ってやつか。
まぁ、モテるだろうし、若いし、遊びたいか。
それも…悪くないな。
そう思っていると、彼が左手のリングを触った。
ファッションリングではない。
いや、ファッションリングならそもそも仕事にはつけてこないだろう。
「…あれ?結婚…してるのか?」
俺がそう聞くと
「…ええ。」
と、低いトーンで言った。何だ…?
「早いんだな。」
「嘘です。でも、そういうことにしといて下さい。」
「…どういう…」
「ここだけの、話。していいですか?」
そう言って、じっくり俺を見た。
綺麗な目で。
つまり、他言無用ということだろう。
俺を、信用している。そう言うことだ。
「…これ、女避けなんです。僕、女性がダメなんですよね。」
衝撃的な告白。
それは…
まぁ、こんなに綺麗なんだから…そっちでも需要は十分に…
「ゲイではありません。」
可笑しそうに、笑いながらそう言った。
「…えーっと?」
「…数ヶ月前に…彼女と別れまして、その…そこで…トラウマが出来たみたいなんですよね。」
「トラウマ?」
「女性が駄目になったんです。触れない。触られるのも駄目。動悸、鳥肌、吐き気、いや、実際に吐く。とりあえず…駄目なんです。近寄られるのも。…特に迫られるようなのが。」
「彼女が原因で?」
「そうです。」
「…君みたいな男が…」
「いつか、治るかなって思うんで…今は。」
「若いのに…」
「そうですね。でも、触りたいと思う人もいないので…」
女避けしなきゃならないほど
寄っては来るのか。
「分かった。まぁ、治ったら教えて。」
「ありがとうございます。でね、清水部長。」
「何だよ。」
「お願い聞いて貰えます?」
この男は、分かってて言うんだろうか。
立場は俺の方が上だ。
拒否も出来る。
担当を変えてくれと、言うことも。
だけど、“プライベート”俺がそう言った。
その時に、言ってくる賢さ。
それに…俺が断らないだろうと
俺が特別だと言わんばかりに、前もって言った。
“ここだけの話”
上手いな、こいつ。