夜をこえて朝を想う
元々の性格なのか、癖か、職業病ってやつか…
相手の表情、仕草から…色々と読み取ろうと…ついじっと、見てしまう。相手を。
彼女は、ホテルの部屋に入ると、はしゃぐように窓の方へ。
風呂の位置を確認しているようだ。
ガラス張りのすぐ横。
「外からは見えないガラスになってるんだよ。」
そう言った…。
こんな、すぐ横がオフィス街になってるのに見えたら大変だろ。
「でも、部屋からは見える…」
ああ、恥ずかしいのか。
俺に、見られるのが。
「どのみち、見る事になるんだ。」
背後から、彼女を包み込み…耳元でそう言った。
細い。なのに、柔らかい。
男とは違う、身体の作りが服の上からでも分かる。
「いっそ、一緒に入る?」
俺の方を振り返った彼女が至近距離で目を合わせる。
さっきの、ここへ来るやり取りもそうだけど
彼女はYESもNOも言わない。
ただ、目で、行動で示すだけだ。
彼女が目を閉じるのを合図にゆっくりと唇を合わせた。
この前とは、随分違う思いを胸に。
触っていい。遠慮なく。
その甘さに溺れ…
確認していなかった。
「湊、彼氏いる?」
「いたら、ここには…。」
「あー、うん。いいんだ。」
タイミングを間違えた。ここへ誘う前に聞くべきだった。
恋人が居るのに、ここへ来る女だとでも言ってしまったようになる。
気を取り直して、再び唇を合わせた。
彼女の微妙なキスの応えに
失言だったと、思った。
再びキスを止めると
「座ろう。」
そう言って、窓際に腰かけた。
彼女が自分のコートと、俺のスーツの上着を掛けてくれる。
「おいで。」
彼女はそっと、横に座った。
「…今頃あの二人も…」
彼女が、途中で言葉を止める。
「俺に、付いてきたのは?」
“私も、誰かと居たかったので”
さっき、彼女はそう言った。
「え?」
「何があったか。…うーん…あの吉良君?」
走って行った彼を見送る彼女を思い出した。
単純に、言っただけ。だった。
それなのに、彼女は二の句が告げなくなった。
「はは、君もかぁ。」
“女性は皆俺の事が好き”などと、ふざけた台詞は
あながち、間違ってはいないのか。
「いいえ。私は…」
否定する彼女に、気持ちの自覚がなかったのか
もしくは…触れてほしくなかったのか
悪いことをしたなと、思った。
彼女の、髪を梳いた。
肩より少し長い、ゆるいウェーブの柔らかい髪が俺の手で揺れる
相手の表情、仕草から…色々と読み取ろうと…ついじっと、見てしまう。相手を。
彼女は、ホテルの部屋に入ると、はしゃぐように窓の方へ。
風呂の位置を確認しているようだ。
ガラス張りのすぐ横。
「外からは見えないガラスになってるんだよ。」
そう言った…。
こんな、すぐ横がオフィス街になってるのに見えたら大変だろ。
「でも、部屋からは見える…」
ああ、恥ずかしいのか。
俺に、見られるのが。
「どのみち、見る事になるんだ。」
背後から、彼女を包み込み…耳元でそう言った。
細い。なのに、柔らかい。
男とは違う、身体の作りが服の上からでも分かる。
「いっそ、一緒に入る?」
俺の方を振り返った彼女が至近距離で目を合わせる。
さっきの、ここへ来るやり取りもそうだけど
彼女はYESもNOも言わない。
ただ、目で、行動で示すだけだ。
彼女が目を閉じるのを合図にゆっくりと唇を合わせた。
この前とは、随分違う思いを胸に。
触っていい。遠慮なく。
その甘さに溺れ…
確認していなかった。
「湊、彼氏いる?」
「いたら、ここには…。」
「あー、うん。いいんだ。」
タイミングを間違えた。ここへ誘う前に聞くべきだった。
恋人が居るのに、ここへ来る女だとでも言ってしまったようになる。
気を取り直して、再び唇を合わせた。
彼女の微妙なキスの応えに
失言だったと、思った。
再びキスを止めると
「座ろう。」
そう言って、窓際に腰かけた。
彼女が自分のコートと、俺のスーツの上着を掛けてくれる。
「おいで。」
彼女はそっと、横に座った。
「…今頃あの二人も…」
彼女が、途中で言葉を止める。
「俺に、付いてきたのは?」
“私も、誰かと居たかったので”
さっき、彼女はそう言った。
「え?」
「何があったか。…うーん…あの吉良君?」
走って行った彼を見送る彼女を思い出した。
単純に、言っただけ。だった。
それなのに、彼女は二の句が告げなくなった。
「はは、君もかぁ。」
“女性は皆俺の事が好き”などと、ふざけた台詞は
あながち、間違ってはいないのか。
「いいえ。私は…」
否定する彼女に、気持ちの自覚がなかったのか
もしくは…触れてほしくなかったのか
悪いことをしたなと、思った。
彼女の、髪を梳いた。
肩より少し長い、ゆるいウェーブの柔らかい髪が俺の手で揺れる