夜をこえて朝を想う
次の週

その確信ともいえるものが…正しかったと

すぐに思う事が出来た。

取りそびれた昼食を簡単に済ませ、コンビニに寄った。

シンプルなリブのニットに長めのタイトスカート。

綺麗なラインを隠すように肩にストールを掛けている。

彼女の身体の知らない部分などない。そんな関係になったと言うのに…

妙に他人ぽく見える。

俺と目が会うと“しまった”とでもいう表情。

随分と、嫌われたもんだな。

なのに、そのまま目を逸らすと、寂しそうに俯いた。

何だよ、全く。

それにすら、笑みが溢れる。

外で彼女が出てくるのを待った。

「やぁ、また会えたね。湊。」

そう言うと、驚いた彼女が少し逸らした目をすぐに俺に戻し

「ええ…清水部長。」

笑顔でそう言った。

「今日、仕事何時に終わる?」

「えっと…今日は…」

逃げられないように

「このまま、会社へついていこうか?」

そう言う。

逃がされたくも、ない筈だ。

「18時半には。」

「ここで、待ち合わせる?それとも、会社まで迎えに行こうか?」

彼女は、ここと言うだろう。

「ここで。」

「OK、後でね。」

根拠のない確信。

ならば、もう一つの確信も当たってるだろう。

彼女の気持ちが、俺の方へ動いていると。

それに対する戸惑いは俺のせいにすればいい。

例え、一夜限りで終わらそうと彼女が覚悟を決めていたとしても。

一夜限りではなく

あの夜が、俺達が出逢った記念日に過ぎないことを。

ドンピシャだった。俺にとって。

彼女の見た目も、性格も…肌も。

全部。

離す気はなかった。

やがて、彼女も認める日が来るだろう。

俺を好きだと。

その前に、先に形を。

そう思っていた。

取り急ぎ、18時半までに仕事を終わらせるように

逸る気持ちを押さえた。

予想を裏付けるかのように、彼女は俺より早く到着していた。

「行こうか。」

「はい。」

歩き出した俺に

この前のように俺に腕を絡めては来なかった

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