夜をこえて朝を想う
まずは、食事。
今日はお互い1杯だけに止めて、正直に話した。
「俺はね、何も1回だけのつもりで誘ったんじゃないよ。」
あの日を思い出したのか、彼女は赤く染まった。
「君も、だろ?」
わざと、耳元でそう言った。
彼女は、赤く染まったまま、俺を見上げる。
大きな瞳に宿るのは…
それを肯定と取り
「行こうか。」
そう言って店を出た。
恥ずかしいのか、1杯じゃ酔えないのか
人気のない路地を
…少し離れて歩く彼女の腰を抱き寄せた。
そのまま…自分の家へ
玄関に入るなり、彼女の唇を奪うように塞いだ。
そのまま、彼女の身体を確かめるようになぞり、リブニットとスカートの隙間に手を入れ直接、肌に触れた。
彼女のキスが止まり、クスクスと笑いだした。
「せっかちだなぁ、清水部長。」
そう言われた事で、玄関であること、性急であることに気づく…
…余裕のなさ…
そして、それを言われた事にバツが悪くなって
髪をかきあげた。
そっぽを向いた俺の頬に湊が口づける。
「可愛い。」
そう言われ、ますますバツが悪くなって、抱き締めて誤魔化した。
「逃がさない。もう…。」
そう言うと、湊は少し強ばった。
抱き締めたまま、…再び唇を合わせた。
顔を離すと、湊はまたにっこり笑った。
ひとまず、中へ促し、コートを受け取るとソファーへ座らせた。
「コーヒーは?」
「飲む。牛乳だけ…欲しいです。」
「あ…ないわ。牛乳。ごめん。」
「じゃあ、ブラックで。」
「…次から、用意しとく。」
そう言った俺をじっと、見ると…またにっこり笑う。
…いつも、そうだ。
癖なのか…一瞬真顔になってから…にっこり笑う。
何か…
ああ、これが…俺の悪い癖だな。
俺と湊は腹を探り合うような関係ではないし、そんな関係は望んでいない。
だけど…
湊と俺の前にコーヒーを置くと、彼女を引き寄せた。
「湊、スマホ出して?」
「え?」
「番号。知らないだろ?」
「…あ…私…携帯持ってなくて。」
「はあ?…お前…そんなハズレ合コンのあからさまな、見え透いた断り文句みたいな事言うなよ。」
「あはは!部長、例え上手すぎ!!」
「なんで?何がそんなに嫌なんだ?」
「いや、本当なの。少し前にね、道で落として、それを車道に蹴っ飛ばしちゃって…運悪く通りかかった車に轢かれて…粉砕。」
そう言うと、彼女は自分のバッグの中身をバサバサとひっくり返した。
最小限の荷物。その中に携帯がある。
「これは、社用。」
そう言って、その携帯を持ち上げた。
確かに、社用のようで何かナンバーが書いてあった。
「本当か?」
「そう、でね。私どうしても機種譲れなくて。2ヶ月待ちなの。代替え面倒臭くて。社用携帯あるし…プライベートはどうせ、誰からも連絡…」
「ああ、彼氏も…」
いないって…
湊がふっ、と目を伏せる。
…あ…そうか。
特別連絡するような相手も…
「えっと、今は…いるから…な。」
会って2回目で…まだ、好きとか言うと嘘っぽいしな。
でも、形はちゃんと…
「携帯、来たらちゃんと教えること。それと…社用教えといて。」
「はい…。」
「全く、自分の“彼女”の連絡先知らないのなんて、初めてだよ。」
「え?」
「彼女だ。湊。それで、いいよな?」
彼女はいつものように、少し驚いた顔をして…それから、にっこり笑った。
社用となると、チェックも入るかもしれない。あまりプライベートで使うのも…そう思い
「それと…連絡は、俺の方からする。」
そう言って、自分の番号を登録させた。
元々、メッセージはあまり使わない。
用があれば電話するし、会えばいい。
そう、思った。
今日はお互い1杯だけに止めて、正直に話した。
「俺はね、何も1回だけのつもりで誘ったんじゃないよ。」
あの日を思い出したのか、彼女は赤く染まった。
「君も、だろ?」
わざと、耳元でそう言った。
彼女は、赤く染まったまま、俺を見上げる。
大きな瞳に宿るのは…
それを肯定と取り
「行こうか。」
そう言って店を出た。
恥ずかしいのか、1杯じゃ酔えないのか
人気のない路地を
…少し離れて歩く彼女の腰を抱き寄せた。
そのまま…自分の家へ
玄関に入るなり、彼女の唇を奪うように塞いだ。
そのまま、彼女の身体を確かめるようになぞり、リブニットとスカートの隙間に手を入れ直接、肌に触れた。
彼女のキスが止まり、クスクスと笑いだした。
「せっかちだなぁ、清水部長。」
そう言われた事で、玄関であること、性急であることに気づく…
…余裕のなさ…
そして、それを言われた事にバツが悪くなって
髪をかきあげた。
そっぽを向いた俺の頬に湊が口づける。
「可愛い。」
そう言われ、ますますバツが悪くなって、抱き締めて誤魔化した。
「逃がさない。もう…。」
そう言うと、湊は少し強ばった。
抱き締めたまま、…再び唇を合わせた。
顔を離すと、湊はまたにっこり笑った。
ひとまず、中へ促し、コートを受け取るとソファーへ座らせた。
「コーヒーは?」
「飲む。牛乳だけ…欲しいです。」
「あ…ないわ。牛乳。ごめん。」
「じゃあ、ブラックで。」
「…次から、用意しとく。」
そう言った俺をじっと、見ると…またにっこり笑う。
…いつも、そうだ。
癖なのか…一瞬真顔になってから…にっこり笑う。
何か…
ああ、これが…俺の悪い癖だな。
俺と湊は腹を探り合うような関係ではないし、そんな関係は望んでいない。
だけど…
湊と俺の前にコーヒーを置くと、彼女を引き寄せた。
「湊、スマホ出して?」
「え?」
「番号。知らないだろ?」
「…あ…私…携帯持ってなくて。」
「はあ?…お前…そんなハズレ合コンのあからさまな、見え透いた断り文句みたいな事言うなよ。」
「あはは!部長、例え上手すぎ!!」
「なんで?何がそんなに嫌なんだ?」
「いや、本当なの。少し前にね、道で落として、それを車道に蹴っ飛ばしちゃって…運悪く通りかかった車に轢かれて…粉砕。」
そう言うと、彼女は自分のバッグの中身をバサバサとひっくり返した。
最小限の荷物。その中に携帯がある。
「これは、社用。」
そう言って、その携帯を持ち上げた。
確かに、社用のようで何かナンバーが書いてあった。
「本当か?」
「そう、でね。私どうしても機種譲れなくて。2ヶ月待ちなの。代替え面倒臭くて。社用携帯あるし…プライベートはどうせ、誰からも連絡…」
「ああ、彼氏も…」
いないって…
湊がふっ、と目を伏せる。
…あ…そうか。
特別連絡するような相手も…
「えっと、今は…いるから…な。」
会って2回目で…まだ、好きとか言うと嘘っぽいしな。
でも、形はちゃんと…
「携帯、来たらちゃんと教えること。それと…社用教えといて。」
「はい…。」
「全く、自分の“彼女”の連絡先知らないのなんて、初めてだよ。」
「え?」
「彼女だ。湊。それで、いいよな?」
彼女はいつものように、少し驚いた顔をして…それから、にっこり笑った。
社用となると、チェックも入るかもしれない。あまりプライベートで使うのも…そう思い
「それと…連絡は、俺の方からする。」
そう言って、自分の番号を登録させた。
元々、メッセージはあまり使わない。
用があれば電話するし、会えばいい。
そう、思った。