夜をこえて朝を想う
「そう言えば…」
私に触れながら、彼がおもむろに聞く。
「独り暮らしだよな?」
今さらだな…。
「そうだよ。」
「呼んでくれてもよくない?」
ヤダよ。
私の家の方が、都合いいだろうし…
ああ、でも…いっか。引っ越すし。
「散らかってるの。すっごい。」
「俺もだよ、それは。」
「綺麗だよ、ここは。」
「はは!あっちに、詰め込んでるから。」
そう言っていつも締め切られた部屋を指差した。
…嘘ばっかり。
「玄関迄でいいなら、行ってみる?」
「何で玄関なんだよ。」
「散らかってるんだって。」
「…忙しいもんな、湊も。」
「行こ。」
「は?今から?」
彼の手を取って立ち上がった。
外へ出ると、離れて歩いた。
歩いて、数分。
「…嘘だろ?」
「本当。」
「こんなに、近いのかよ。」
徒歩数分のそのマンションのドアを開けた。
引っ越しの段ボールが置かれた廊下。
「…引っ越し…」
「うん。」
「いつ?」
「1ヶ月前くらいかな。」
「え?前?何で言わないんだよ。」
「ほら…追いかけて来たみたいじゃない。」
私も嘘で返した。
「はは!確かに。そんなに好きなんだ。俺の事…。」
「言うと思った。」
そう言って、笑い合った。
「手伝おうか?片付けるの。」
「いいよ、ゆっくりします。」
「片付いたら、招待して。」
「はーい。」
「こんなに、近いなら、遅くても遠慮なく呼べるな。」
身勝手な発言に
「私、このまま帰ろうかな。」
そう言うと
「……だーめ、まだ…何もしてない。」
そう言われ、また…彼のマンションへ戻った。
6回…か。
あと、3回。
あと3回で最後にしよう。
今日で最後って決められないところが…
情けない。
彼の優しい笑顔に
今日も騙される。
いいよ、あと3回は騙されてあげる。
だけど…
いつ呼ばれるか分からないあと3回。
それまでに、固めなければならない。
強い決心を。
この不毛な恋を終わらせる、そんな決心を。
私に触れながら、彼がおもむろに聞く。
「独り暮らしだよな?」
今さらだな…。
「そうだよ。」
「呼んでくれてもよくない?」
ヤダよ。
私の家の方が、都合いいだろうし…
ああ、でも…いっか。引っ越すし。
「散らかってるの。すっごい。」
「俺もだよ、それは。」
「綺麗だよ、ここは。」
「はは!あっちに、詰め込んでるから。」
そう言っていつも締め切られた部屋を指差した。
…嘘ばっかり。
「玄関迄でいいなら、行ってみる?」
「何で玄関なんだよ。」
「散らかってるんだって。」
「…忙しいもんな、湊も。」
「行こ。」
「は?今から?」
彼の手を取って立ち上がった。
外へ出ると、離れて歩いた。
歩いて、数分。
「…嘘だろ?」
「本当。」
「こんなに、近いのかよ。」
徒歩数分のそのマンションのドアを開けた。
引っ越しの段ボールが置かれた廊下。
「…引っ越し…」
「うん。」
「いつ?」
「1ヶ月前くらいかな。」
「え?前?何で言わないんだよ。」
「ほら…追いかけて来たみたいじゃない。」
私も嘘で返した。
「はは!確かに。そんなに好きなんだ。俺の事…。」
「言うと思った。」
そう言って、笑い合った。
「手伝おうか?片付けるの。」
「いいよ、ゆっくりします。」
「片付いたら、招待して。」
「はーい。」
「こんなに、近いなら、遅くても遠慮なく呼べるな。」
身勝手な発言に
「私、このまま帰ろうかな。」
そう言うと
「……だーめ、まだ…何もしてない。」
そう言われ、また…彼のマンションへ戻った。
6回…か。
あと、3回。
あと3回で最後にしよう。
今日で最後って決められないところが…
情けない。
彼の優しい笑顔に
今日も騙される。
いいよ、あと3回は騙されてあげる。
だけど…
いつ呼ばれるか分からないあと3回。
それまでに、固めなければならない。
強い決心を。
この不毛な恋を終わらせる、そんな決心を。