夜をこえて朝を想う
「皆!……えっと…?」
「あ、友人なの。今、たまたま会って…彼のお陰で助かった…」
二宮くんがホッとしたようにため息を吐いた。
「だから、外出るときは俺とって言ったのに。」
「アイツ、相当しつこいんですか?」
吉良くんが聞く。
「はい、会社を特定はしてないんでしょうけど…近くをうろうろ…」
「湊、やっぱり…」
「大丈夫、ごめんね、吉良くん。」
「すいません、お世話になりました。」
二宮くんが、吉良くんにそう言った。
私に向き直ると
「はい、立てんの?おんぶ?抱っこ?」
そう言った。真顔で。
「いや、腕貸してくれたらいいから。」
…若者は何も考えてなくて、怖い。
「面倒くさ。おぶされよ、もう。」
「いや、君にそんな事してもらったら女子社員に何言われるか分かんないでしょ!?」
「いんじゃない?もう辞めるんだし。俺は気にしないし。」
「去る鳥、後を濁したくないんです。」
「とりあえず、医務室だな。昼から帰るなら、俺も帰る。」
「いや、サボらないで。ほら。」
吉良くんが何か言いたそうにしたけど、その場を離れた。
少しずつ進む。
「……めちゃめちゃイケメンだね。今の“お友達”。」
少しトゲのある言い方をされる。
「うん、君もね。」
「この前の部長さんといい、格好いい人ばっかりだね。皆さんのまわりは。」
「はいはい、君もね。」
「君が一番。くらい、言って貰えません?」
「あのメンツじゃ厳しいな~。」
「分かってますよ、勝つ気もない。皆さんの中で…って」
「そこでも厳しいな~」
「お姫様抱っこして、会社入ろうか?」
「止めて下さい、王子!」
ああ、しまったな…
吉良くんに話してるのか…
どういうつもりなのだろう。
吉良くん、そういうの無理なのに…
それに、今日の事が耳に入ったら…
彼なら心配してくれるだろう。
それも…嫌だった。
医務室。
はー…
二宮くんの大きなため息。
「もう、心配かけないで貰えます?」
「あ、ごめん。ご迷惑を…」
彼に膝を消毒してもらって、足首に湿布を貼ってもらった。
病院に行くほどではなさそう。
「…迷惑じゃない。」
そう言った彼と
医務室から出ようとすると
「ねぇ。」
二宮くんが足を止める。
「はい。」
「もっと後で…最終日にでも言おうと思ってたんだけど。」
「はい?」
「付き合ってくれない?」
どこへ?
とか…じゃない…やつ?
嘘…冗談じゃ…ない…やつ?
「無理です。」
「即答するなよ。」
「だって。」
「いい、物件だよ?」
「伸び代?」
「いや、このままでも、だ!」
知ってるよ、社内でめちゃめちゃ人気ある。
だからこそ。
もっといい人いる。
私なんかじゃなく。
「ありがとう。でも、無理。」
「考えて。いや、むしろ…」
その瞬間、唇に…
え
何?
唇?
キス!?
そう思った瞬間、ほんの少し…彼の舌が私の舌に…触れた。
そのまま顔を離すと、その舌を少し出したまま
イタズラっぽく笑った。
ペロッと舌をしまうと
「考えられるように、なった?」
そう聞いた
「え、ちょ…ちょっと!」
「はは、赤~。」
そう言って、先に医務室を出た彼の背中を見ていた。
再びドアから顔を覗かせると
「何かあった?行こ!」
と、フロアの方を指差した。
怖。
怖い。
イケメンの若者、怖いものなしで…
怖い。
いや、キス
キスした。
キス…しちゃったし。
えぇー!!!
何?最近の若者はあんな感じなの?
彼は…今年…やっと、新卒じゃなくなった、先月から2年目に入った若者だ。
「あ、友人なの。今、たまたま会って…彼のお陰で助かった…」
二宮くんがホッとしたようにため息を吐いた。
「だから、外出るときは俺とって言ったのに。」
「アイツ、相当しつこいんですか?」
吉良くんが聞く。
「はい、会社を特定はしてないんでしょうけど…近くをうろうろ…」
「湊、やっぱり…」
「大丈夫、ごめんね、吉良くん。」
「すいません、お世話になりました。」
二宮くんが、吉良くんにそう言った。
私に向き直ると
「はい、立てんの?おんぶ?抱っこ?」
そう言った。真顔で。
「いや、腕貸してくれたらいいから。」
…若者は何も考えてなくて、怖い。
「面倒くさ。おぶされよ、もう。」
「いや、君にそんな事してもらったら女子社員に何言われるか分かんないでしょ!?」
「いんじゃない?もう辞めるんだし。俺は気にしないし。」
「去る鳥、後を濁したくないんです。」
「とりあえず、医務室だな。昼から帰るなら、俺も帰る。」
「いや、サボらないで。ほら。」
吉良くんが何か言いたそうにしたけど、その場を離れた。
少しずつ進む。
「……めちゃめちゃイケメンだね。今の“お友達”。」
少しトゲのある言い方をされる。
「うん、君もね。」
「この前の部長さんといい、格好いい人ばっかりだね。皆さんのまわりは。」
「はいはい、君もね。」
「君が一番。くらい、言って貰えません?」
「あのメンツじゃ厳しいな~。」
「分かってますよ、勝つ気もない。皆さんの中で…って」
「そこでも厳しいな~」
「お姫様抱っこして、会社入ろうか?」
「止めて下さい、王子!」
ああ、しまったな…
吉良くんに話してるのか…
どういうつもりなのだろう。
吉良くん、そういうの無理なのに…
それに、今日の事が耳に入ったら…
彼なら心配してくれるだろう。
それも…嫌だった。
医務室。
はー…
二宮くんの大きなため息。
「もう、心配かけないで貰えます?」
「あ、ごめん。ご迷惑を…」
彼に膝を消毒してもらって、足首に湿布を貼ってもらった。
病院に行くほどではなさそう。
「…迷惑じゃない。」
そう言った彼と
医務室から出ようとすると
「ねぇ。」
二宮くんが足を止める。
「はい。」
「もっと後で…最終日にでも言おうと思ってたんだけど。」
「はい?」
「付き合ってくれない?」
どこへ?
とか…じゃない…やつ?
嘘…冗談じゃ…ない…やつ?
「無理です。」
「即答するなよ。」
「だって。」
「いい、物件だよ?」
「伸び代?」
「いや、このままでも、だ!」
知ってるよ、社内でめちゃめちゃ人気ある。
だからこそ。
もっといい人いる。
私なんかじゃなく。
「ありがとう。でも、無理。」
「考えて。いや、むしろ…」
その瞬間、唇に…
え
何?
唇?
キス!?
そう思った瞬間、ほんの少し…彼の舌が私の舌に…触れた。
そのまま顔を離すと、その舌を少し出したまま
イタズラっぽく笑った。
ペロッと舌をしまうと
「考えられるように、なった?」
そう聞いた
「え、ちょ…ちょっと!」
「はは、赤~。」
そう言って、先に医務室を出た彼の背中を見ていた。
再びドアから顔を覗かせると
「何かあった?行こ!」
と、フロアの方を指差した。
怖。
怖い。
イケメンの若者、怖いものなしで…
怖い。
いや、キス
キスした。
キス…しちゃったし。
えぇー!!!
何?最近の若者はあんな感じなの?
彼は…今年…やっと、新卒じゃなくなった、先月から2年目に入った若者だ。