Love-ing(アイエヌジー)
ちょうど信号待ちになって停まったのを機に、私はシートベルトを外すと、後部座席に手を伸ばして、監督が言う紙袋――私に渡したいものが入ってる――を取った。
そして素早くシートベルトを締めたとき、信号が青に変わった。

紙袋は片手でヒョイと取れる重さだった。つまりそれほど重くはないということだ。
そして手に持つと、ぐしゃっと型崩れをするようなものでもない。
監督運転の車がスタートをして数秒経ったとき、運転中の監督から「開けていいぞー」と言われたので、私は遠慮なく開けることにした。

なんか、ドキドキする。
何が入ってるんだろ・・・。

「あっ!これ・・・」
「おまえが言ってたのと同じかどうかは知らねえけど、昨日おまえから話を聞いた直後に店で見つけたんだ」

監督が私に渡したかったもの。それは、昨日私が話した「いちごの本」だった。
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