破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
「もしかしてエスディオにも情報がないのかしら。修道院図書室で文献とか見つかるといいんだけど……」
エスディオの中心部、小高い丘の上に建つ修道院には、王都の王立図書館よりも広く美しい図書室があり、大陸中で集められた本が天井までぎっしりと並べられている。
貴重なものも多いので、その中に幻の料理について書かれたものがあるかもしれないと、アーシェリアスは期待していた。
しかし、エヴァンの話を聞いて、もしかしたら不発に終わるのではと不安になり、愁眉を寄せる。
その様子をホロの下で見ていたノアが、明るい声を張った。
「アーシェ、あんまり考えすぎてもよくないよ? ちょっとリフレッシュしよ!」
提案するノアに、腕を組んで目を閉じていたザックが瞼を持ち上げる。
「リフレッシュって何でリフレッシュするんだ?」
街道には気晴らしになるようなものは何もない。
宿場町に到着するまで、まだ数時間はかかる。
「宿場町じゃなくて、カリドに行くの! そこで温泉に浸かりながら旅の疲れを癒すプランはどう?」