破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

「もしかしてエスディオにも情報がないのかしら。修道院図書室で文献とか見つかるといいんだけど……」


エスディオの中心部、小高い丘の上に建つ修道院には、王都の王立図書館よりも広く美しい図書室があり、大陸中で集められた本が天井までぎっしりと並べられている。

貴重なものも多いので、その中に幻の料理について書かれたものがあるかもしれないと、アーシェリアスは期待していた。

しかし、エヴァンの話を聞いて、もしかしたら不発に終わるのではと不安になり、愁眉を寄せる。

その様子をホロの下で見ていたノアが、明るい声を張った。


「アーシェ、あんまり考えすぎてもよくないよ? ちょっとリフレッシュしよ!」


提案するノアに、腕を組んで目を閉じていたザックが瞼を持ち上げる。


「リフレッシュって何でリフレッシュするんだ?」


街道には気晴らしになるようなものは何もない。

宿場町に到着するまで、まだ数時間はかかる。


「宿場町じゃなくて、カリドに行くの! そこで温泉に浸かりながら旅の疲れを癒すプランはどう?」

< 140 / 194 >

この作品をシェア

pagetop