破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
この小豆はゆらたま亭にあったものだ。

サラダやスープ用にと茹でておいたものがあったとのことで、許可をもらい使わせてもらっている。


「水分がなくなるまでヘラで混ぜててくださいね」

「これで餡子とやらになるのか」

「そうです。甘くてとても美味しいんですよ」


アーシェリアスの言葉にザックはあずきのおやきを思い出し、小さくお腹を鳴らした。

ウルバーノとティーノが鍋の前に立っている間に、アーシェリアスは購入してきた栗を剥き、鍋にひたひたの水を入れて十分ほど煮たところで、砂糖、塩を加えると少し水を追加してから甘く煮ていく。


「この栗の甘煮は小さくカットして餡子と混ぜます」


焦がさないように気をつけながら弱火で煮るとこさらに十分。

火を止めて、そのまま粗熱を取ってから細かく刻むと、ウルバーノが作った餡子に混ぜた。

厨房には餡や蜜の甘い香りが漂っており、仕事の合間に様子を見に入って来た女将が「とってもいい匂いね」と心を弾ませる。

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