破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
前世やら神様やら、どことなく宗教じみた話にも思える話で、もしアーシェリアスが聞く側であったなら間違いなくザックと同じ反応をしていただろう。


「なんかもう自分で話してて信じにくいなって思えてきた。ごめんなさい、変な話して……」

「……まぁ、正直ぶっ飛んでるが……アーシェが言うことだ。信じるよ」


見たこともない料理も、別世界から転生したなら納得がいくと続けたザックの言葉に、アーシェリアスの心が感動でジンと震えた。


「ザック……!」

「そうか、アーシェもオプション付きか」


ザックが王子であることと同じように、アーシェリアスにも別世界から記憶を持って転生したという、普通の人とは少し違うオプションがついている。


「同じだな、俺と」


嬉しそうにザックが微笑んだのを見て、アーシェリアスの胸が跳ねた。

暴れ始めた鼓動は、明らかにザックを意識したからであり、アーシェリアスは戸惑いを隠せず視線を膝に落とす。


(あ、あれ……? どうしよう、嘘でしょ……)

< 170 / 194 >

この作品をシェア

pagetop