破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
最初は余計な提案かもしれないと不安だった。

大した集客もできずに終わってしまったら、手間をかけさせて申し訳ないと精一杯謝らせてもらうことも頭に置いていたのだ。

しかし、ウルバーノが焼くヨーグルト入りのふかふか厚焼きパンケーキは、もちもち加減が絶妙で素晴らしく、また、仲間たちの活躍も手伝って良い結果をもたらした。


「みんなもサポートしてくれてありがとう」


ひとりでは成しえなかったと仲間たちを振り返り、礼を告げるアーシェリアス。

ザックは「仲間だからな」と、助け合い、共に努力することは当然だろうと話すと、ノアとエヴァンも同意するように笑みを携えて頷いた。


「シーゾーも、黒蜜をありがとう」


まるで空気を読んだかのように黒蜜をくれたシーゾーのおかげで、黒蜜を作る手間がなくなり作業が楽になった。

エヴァンの頭に乗っていたシーゾーは、「モフー」と嬉しそうにしながら羽をばたつかせ、アーシェリアスの腕に飛び込んだ。

それを見たノアが「ボクもー!」と言って、アーシェリアスに抱き付こうとしたが、寸でのところでザックに後ろ襟を掴まれて止められる。

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