破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
今まで前世の記憶に振り回されて忘れていたが、確かにアーシェリアスには許嫁がいる設定だ。

それは、ファレ乙の攻略対象でありメインヒーローとなる人物。


「サイフリッド家の長男、アルバート卿とだ」


(やっぱり俺様公爵アルバート!)


アルバート・サイフリッド。

容姿端麗で父親は王国騎士団を束ねる総長の任についている。

その為、自身も幼い頃から剣術の鍛錬を重ね、主人公のミアが引っ越してきた頃には騎士として活躍しており、女性たちの憧れの的だった。

だがしかし、莉亜は自信家で俺の言うことは絶対だと言わんばかりの接し方をするアルバートは全くと言っていいほど好みではない。

しかも、アーシェリアスに対しての態度も許嫁に対する配慮など微塵もなかった。

兄のレオナルドの方が一億倍素敵だと推しの魅力を再確認し、アーシェリアスは父の目をしっかりと見返す。


「ありがたいお話ですが、お断りしたいです」


まさか断るとは思ってなかったのか、オスカーは目を丸くした。


「なぜだ?」

「アルバート様には、私よりもずっと相応しい方が現れるからです」

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