破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
ミア・ファニング 。

隣国からやってきた子爵の娘で、歳はアーシェリアスと同じ。

柔らかそうなピンクベージュの髪と、優しげなブラウンカラーの瞳。

声は心地の良いソプラノで、ミアはアーシェリアスの通う学園でもすぐに人気者になった。

それはもう、ゲームのシナリオ通りに。

しかし、この【シナリオ】がアーシェリアスの邪魔をする。

アーシェリアスは、ミアが万が一アルバートルートに入った場合、最悪の結末を避ける道を作ろうと、ミアと親友になろう作戦を密かに決行していた。

だがしかし。


『ミア、よかったら一緒に昼食をとらない?』

『あ……ごめんなさい。私、アルバート様とお約束してて……』

『えっ!? アルバート様と?』


(やっばい。それ高感度上がっちゃうんじゃ……)


『ご、ごめんね。許嫁のあなたがいるのに。でも、そういうのじゃなくて、アルバート様のことはいい先輩としてしか思ってないから。だから怒らないで……』


なぜか、ミアと話すとアーシェリアスが悪く思われるような展開になることが多かった。


『だ、大丈夫よ。怒ってなんて……』

『おい、アーシェ。ミアに何を言った。怯えさせるな』

『アルバート様! 違うんです! 私がいけないんです!』

『ひどいことをされてもアーシェを庇うのか。ミア、お前は優しすぎる』


(いや、普通に昼食に誘って、アルバートと約束があることに驚いただけですけど!?)


どうやってもアーシェリアスの立場が悪くなるのはシナリオによる補正がかかっているのか。

アルバートの興味が自分から逸れたことはいいのだが、ミアと仲良くなれないのはいただけない。
アーシェリアスは悩みながらも、とにかく日々ミアに優しく接することを心掛けていた。

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