破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします

それから三日程経ち、ザックは順調に回復。

アーシェリアスが学校に行っている間は、旅の再開に向けて体力を戻す為に屋敷の庭で剣の稽古をするようになっていた。

夕刻、屋敷の前に馬車が止まり、客車からアーシェリアスが降りてくるとシーゾーを抱っこしたライラが出迎える。


「お帰りなさいませ、お嬢様!」

「モフー!」

「ただいまライラ、シーゾー。ザックは?」


飛んできたシーゾーを抱き締めたアーシェリアスが問いかけると、ライラは荷物を預かりながら「お庭でレオナルド様と手合わせ中です」と答えた。


「兄様と!?」


推しのレオナルドがザックと手合わせ。

なんというおいしいイベントだと、急いで庭へと回ると鋼がぶつかり合う高い音が聞こえてきた。

アーシェリアスの瞳に映るのは、ザックの剣撃を受け止める兄の姿。

少し汗ばむ兄の色気に、なぜ自分が妹であるのだと久しぶりに悔しくなる。


(貴重な兄様の手合わせ姿……これをおかずに白飯三杯はいける勢いでかっこいい……)


ほぅ……と甘いため息を吐いてから、なんとなしにレオナルドの剣を軽やかにかわすザックを見る。

< 50 / 194 >

この作品をシェア

pagetop