破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
夕日の橙色を受けた金の髪は色濃く輝き、翡翠を思わせる瞳は凛々しくも余裕に満ちていて、今まで特段意識していなかったが、良く見るとレオナルドに勝るとも劣らない顔立ちであることに気付いた。

レオナルドと並んでも引けを取らない美貌を持つ男性はファレ乙のキャラの中ではアルバートくらいだ。


(私が見ていたのはファレ乙の世界のほんの一部だったのね)


旅に出たらもっとたくさんの知らなかった景色が見れることだろう。


(ザックの体調も良さそうだし、そろそろお父様にもう一度交渉してみようかな)


期待と不安を胸にそう考えていたら、いつからそこにいたのか。


「彼は何者なのだ」


父オスカーがアーシェリアスの少し後ろでふたりの手合わせを眺めていた。


「お父様! お帰りなさい」

「ただいまアーシェ」


微笑んだ父はアーシェリアスの隣に並び、また視線をザックと息子に戻す。


「何者かって、ザックのこと?」

「ああ、お前の友人なのだろう? あの剣の腕、相当なものだ。学園の生徒なのか?」


問われて、そういえばザックの素性をよく知らないなと思った。

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