破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
「じゃあ、何で私が神界に?」
混乱する莉亜の眉間のシワが深くなる。
「それがさぁ、我、人間界を満喫した帰りだったんだけど、神界の入り口に入ろうとしたら、いきなりそなたが我の足を掴んできたんだよー」
「え……入り口って、川?」
「そう、川〜。で、人間であるそなたは落ちて死んでしまったんだけど、そなた、我を助けようとしてくれたんだろうなと思ってねー。そのまま天国に送るのも申し訳ないなぁって、とりあえずここに連れてきましたー」
ヘラッと笑いながらの状況説明を聞いた莉亜は思わず白目を剥いた。
助ける必要のない人……いや、神さまを助けたが為に死んでしまったのだ。
言葉の代わりに盛大な溜め息を吐き出して花畑に倒れ込む。
ふわりと、最初に感じた甘い香りが濃くなって、わずかに残っている冷静な自分が、花の香りだったのかと納得した。
そして、この香りが母が好んでつけていた練り香水のものに似ていることに気づく。
「お母さん……ごめんね」
今頃悲しんでいるだろう。
夫に先立たれただけでなく、娘まで自分より先に死んでしまうなんて。
零した声を聞いて、神さまが小首を傾げる。