破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
足を滑らせたりしないよう気をつけつつ耳を澄ませていたら、ついにその声がアーシェリアスにもハッキリと聞こえた。
「いい加減しつこいっ!」
ナンパされてブチギレているようなセリフとヒステリックに叫ぶ声に、一行が急いで駆け寄ると、そこにある光景にアーシェリアスは息を呑む。
十代半ば、アーシェリアスやザックより少し年下だろう少女が、大猪の魔物カプロスの群れに囲まれているのだ。
しかし、驚くべきは少女を背に守る一匹の犬に似た魔物の存在だ。
長い毛を生やし、牛ほどの大きな体を持つカーシー。
妖精たちの番犬といわれる魔物だが、そのカーシーが傷を負いながらも、少女を食らおうと迫る魔物を威嚇し追い払っている。
「ど、どういう状況?」
声を潜めつつも戸惑いを隠せないアーシェリアスに、ザックは「わからない」と首を横に振った。
だが、その手はすでに剣の柄に触れて、いつでも魔物を切る体勢に入っている。
(そうだ。どんな状況にせよ、女の子がピンチなのは変わらない。助けなくちゃ!)
とはいえ、アーシェリアスに戦闘経験など皆無。
護身用にと父から短剣は持たされたが、どう考えてもカプロスに勝てる気がしない。
「いい加減しつこいっ!」
ナンパされてブチギレているようなセリフとヒステリックに叫ぶ声に、一行が急いで駆け寄ると、そこにある光景にアーシェリアスは息を呑む。
十代半ば、アーシェリアスやザックより少し年下だろう少女が、大猪の魔物カプロスの群れに囲まれているのだ。
しかし、驚くべきは少女を背に守る一匹の犬に似た魔物の存在だ。
長い毛を生やし、牛ほどの大きな体を持つカーシー。
妖精たちの番犬といわれる魔物だが、そのカーシーが傷を負いながらも、少女を食らおうと迫る魔物を威嚇し追い払っている。
「ど、どういう状況?」
声を潜めつつも戸惑いを隠せないアーシェリアスに、ザックは「わからない」と首を横に振った。
だが、その手はすでに剣の柄に触れて、いつでも魔物を切る体勢に入っている。
(そうだ。どんな状況にせよ、女の子がピンチなのは変わらない。助けなくちゃ!)
とはいえ、アーシェリアスに戦闘経験など皆無。
護身用にと父から短剣は持たされたが、どう考えてもカプロスに勝てる気がしない。