破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします
「ザック、いい作戦はある?」
ここは戦い慣れているであろうザックの意見を聞こうと問いかけた時、一頭のカプロスの耳がピクリと動くと、その視線がアーシェリアスたちへと向き……目が合った。
その途端、アーシェリアスの胃が恐怖に縮みキリと痛む。
「見つかったか」
ザックが忌々し気に吐き捨てたと同時、カプロスは興奮して嘶き、その勢いのまま突進してきた。
「ひゃあああああ!」
「左に飛べ!」
ザックに言われるがまま、急いで左側に飛び退くアーシェリアス。
間一髪でカプロスが脇を通り過ぎ、倒れ込んだアーシェリアスに怪我はなかったのだが。
「……あっ!」
今のカプロスのせいで、ライスバーガーの入った籠を落としてしまった。
幸い籠の蓋は閉じたままだが、もし落とした場所がカプロスの通った場所だったとしたら、無残にも潰され、せっかく作ったライスバーガーはお釈迦になっていただろう。
いや、このまま逃げ回っているだけではお釈迦コースまっしぐらだ。
「私の愛情たっぷりライスバーガーを守るのよ……!」
急いで片を付ける必要があるとアーシェリアスはライスバーガーを死守するため闘志を燃やす。