いつか、眠りにつく日2
「きみは、誰?」
その声が聞こえたとき、最初は空耳だと思った。
ゆっくりと顔を上げると、雲ひとつない空は灰色に沈んで見えた。
もう、濁った瞳は色もわからなくなったみたい。
「ねえ」
男の子っぽい声が続いても、私はまだぼんやりと空を見ていた。
話しかけてくる人なんていなかったし、私の姿は誰にも見えないと知っているから。
そう、私はもう死んでいる。
今はこの地で地縛霊になるのを待つだけの身で、生きている人間からは見えない存在。
高台にあるこの場所は開発予定地で、いずれ住宅街になるらしいが今はただの山。
ロープが張りめぐらされているだけの山奥に人が来ることはほとんどなかった。
駅からは遠くても町並みの向こうには海が見え、その上には大きな空が広がっていて見晴らしはいい。
この町にこんないい場所があるなんて、生きている間は知らなかったな……。
今は〝売地〞と大きな看板があるだけの場所もそのうち開発が進んでいき、にぎやかになるだろう。
その声が聞こえたとき、最初は空耳だと思った。
ゆっくりと顔を上げると、雲ひとつない空は灰色に沈んで見えた。
もう、濁った瞳は色もわからなくなったみたい。
「ねえ」
男の子っぽい声が続いても、私はまだぼんやりと空を見ていた。
話しかけてくる人なんていなかったし、私の姿は誰にも見えないと知っているから。
そう、私はもう死んでいる。
今はこの地で地縛霊になるのを待つだけの身で、生きている人間からは見えない存在。
高台にあるこの場所は開発予定地で、いずれ住宅街になるらしいが今はただの山。
ロープが張りめぐらされているだけの山奥に人が来ることはほとんどなかった。
駅からは遠くても町並みの向こうには海が見え、その上には大きな空が広がっていて見晴らしはいい。
この町にこんないい場所があるなんて、生きている間は知らなかったな……。
今は〝売地〞と大きな看板があるだけの場所もそのうち開発が進んでいき、にぎやかになるだろう。