僕と黒猫ニャオ
「よし。こんなもんかな・・・・・・。」
自分の部屋で小さくつぶやく。
便箋を2つ折りにして中に入れ、真っ白な封筒に『遺書』と書き込む。
扉の向こうでコンコンとノックの音がした。
「勇気〜。早く寝なさいね〜。」
「はーい。」
遠ざかっていくお母さんの足音。
一旦ベッドに横たわって家族が寝静まるのを待つ。
午後11時50分。
そろそろ行こう。
自分の部屋を出てベランダに向かう。
ベランダの窓を開けると、12月の冷たい空気が吹く。
寒い・・・・・・。
でも、寒いってことは生きている証拠。
死んでしまえば、感覚なんて無くなってしまうのだから。
ここは、マンションの9階。
下には、木もないコンクリート。
落ちたら、怪我では済まない。
すぐ即死だろう。
でも、それで良いんだ。
もういじめられることはないんだ。
これで楽になれるんだ。
手すりから手を離すと、僕は真っ逆さまに落ちていった。
頭に強い痛みが走り、僕の人生は幕を閉じた。