だ き し め て
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はあ。吐いて吸う。吐いて吸う。暗くなる気持ちが、重い。
図書館の、よく高野くんと一緒に駄弁ったカウンターの掃除になってしまった。
カウンター内はほかに比べると狭いし、サボってしまったひとが大勢いたから、私ひとりでの掃除。
ふたつある椅子。こっち側に高野くんが座って、こっち側は私。そう思い返す。思い出を振り返るのは簡単で、心が痛むのも単純で。
床ふきをしようとしゃがんで、不意に涙が落ちそうになって上を向いて、あれ?
「なにこれ……」
高野くんが普段座っていた椅子の裏。何かがセロハンテープでくっつけられている。ぴりりと剥がした。