気が利く彼女が……人気者の彼が……好きなんです
莉乃は走って体育館を出ていった
部室前に三人が着替えて待っている
「莉乃~まだ?」
「ごめん、すぐ着替えるね」
「ほんとトロいよね」
「穂乃、そこまでいわなくても」
静香が止める
「ん~待つけどさ」
和翔は体育館の鍵を閉めて一度部室に戻り
着替えをして篤志と体育館横にある教官室へ部室と体育館の鍵を返しにいく
鍵の持ち出しと返却はノートに名前を書くようになっていて和翔の名前の横には女子バスケ高島莉乃の名前が毎日並んでいた
(今日も高島か……)
和翔は教官室から出て篤志と門に向かって歩いていく
「腹へったな、和翔、何か食べて帰るか?」
「いいよ、何食う?」
「ラーメンとか………あれ、前にいるの内谷と長野じゃん」
「ほんとだ……まだ帰ってなかったんだな」
穂乃が和翔らに気付く
「おーい、どっかいくの?」
「ラーメン食いに」
「うちらも行っていい?」
「いいけど遅くまで大丈夫なのか?」
「いくぞ篤志」
「あっ、ああ」
和翔の後についていく三人……
ラーメン屋に入る
「うちは今日親がいないから適当に食べてって言われたの、そしたら穂乃が食べに行く?っていうからさ」
「私は部活で遅くなったって言う」
「怒られても俺らのせいにしないでくれよ、誘った訳じゃないからな」
「和翔、そんな言い方しなくても」
「……それより、四人で帰ってたんじゃないのか?」
「門までは一緒に出たよ、だから絵里から話を聞いて寄り道することにしたの」
四人はラーメンを食べ始めた
和翔が一番に食べ終えた
「ごちそうさま」
「早いな和翔、じゃあ電車の時間見てくれよ」
「いいよ」
携帯で時刻表を見る
「食ったら出るぞ」
「えー、和翔、同じ電車じゃんもう少し待ってよ~」
(めんどくせぇ)
「まあまあ、みんな同じ電車なんだし、和翔、もう少し待ってやれよ」
「矢野くんありがとう」
穂乃は髪を耳にかけてラーメンを食べた
「髪が邪魔ならくくっとけばいいのに……」
「それは私も賛成だな、穂乃」
「えー、だってもう髪おろしてたし、またくくると時間かかるし、ツルッ」
「やっぱ、めんどくせえ」
今度は口に出していた
「穂乃は鏡を見て前髪の分け目をちゃんとしないとくくらないからねー(笑)」
「うん……ごちそうさま」
四人は店を出て駅に向かう
「ねえ、和翔、今度一年のバスケ部でどっか遊びに行かない?」
「えー、やだよ」
「練習時間が同じなんだし行けるじゃん」
「俺は仕切るの嫌だから、誰か他の奴に頼んで」
「中学の時、キャプテンしてたじゃない、仕切れるでしょ?」
「和翔、キャプテンしてたのか?じゃあ、やれよ」
「だから嫌だって……遊びの計画たてるのは嫌、キャプテンは関係ないよ、お前が言い出したんだから女子が決めれば?」
「あっ、あたし降りるね、バイバイ」
絵里は降りていった
「ねえー、和翔」
「幸平にでも言えば?あいつしっかりしてるし、じゃあな篤志」
「あたしも降りるし、じゃあね矢野くん」
穂乃と和翔は同じ駅で降りていった