枯れた花は何度も咲く
男性の後ろの席に座った。
香水の匂いがする。
ネックレス、かっこいいな…
黒髪ってことは、まだ高校生?
見ず知らずの彼に夢中だった。
バスが停車する。
それと同時に彼が席を立つ。
あ、降りちゃう!!!
咄嗟に私も席を立った。
バスを降り、彼の後を追う。
この出会いを、無駄にしたくなかった。
ここで離れたら、
もう彼には会えないと思う。
そう思ったら、もっともっと
彼のことを知りたくなった。
彼も傘を差していなかった。
「 あ、あの!! 」
後ろから声をかけたけど、
全然振り向いてもらえない。
「 あの、すみません!! 」
強い雨のせいで、彼の元へ声が届かない。
「 あの!!! 」
更に大きな声で彼を呼ぶ。
肩をビクッと震わせ、
彼が勢いよく振り向いた。
「 えっ……? 」
彼は私の顔を見て、驚いていた。
「 あの、先程はありがとうございました! 」
「 あぁ… 」
口数が少ない。
どうしよう、このままじゃ会話が終わっちゃう…
「 あ、あの…… 」
なにから話せばいい?
「 お、お名前、教えてください! 」
「 ………はっ? 」
「 こんなこと急に言われても
困ると思うんですけど…
私……あなたに一目惚れしました…! 」
彼は、じーっと私の顔を見ていた。
「 この機会を無駄にしたくないんです!
あなたに…恋をしました…!! 」
変人だと思われてるだろう。
こんな経験初めてだから、
なんて言えばよかったのかわからない。
「 ……なに言ってんの? 」
「 えっ……? 」
「 あぁ、もしかしてからかってる? 」
予想外の言葉が返ってきた。
「 だるっ 」
彼はまた歩き出した。
「 からかってません!!
ほんとに、あなたを好きになりました… 」
「 ……… 」
「 連絡先、教えてください… 」
「 君、自分で何言ってるかわかってる?
普通、見ず知らずの人にそんなこと言う? 」
「 私、立花玲といいます… 」
「 立花さんってもしかして……
あの豪邸の立花さん……!? 」
「 あぁ…そうです… 」
「 この辺りじゃ有名なお嬢様じゃん。
こんな俺みたいな人、やめといた方がいい 」
「 私はあなたをもっと知りたいんです!
名前とか、年齢とか、性格とか…… 」
「 じゃあ、お嬢様に1つ
俺のこと教えてあげるよ。 」
「 え、、?? 」
「 俺、人殺しだよ 」
そう言い、彼は不気味に笑った。