枯れた花は何度も咲く




「 自分の母親を殺した。
どう?軽蔑したでしょ。んじゃ帰るわ 」




「 ちょっと待って!! 」



「 なんだよ!!! 」


「 それでも、いい…… 」

「 は?なに言ってんの? 」


「 犯罪者だろうが、関係ないです… 」

「 いやいや、キミね、そん… 」



「 恋をするのに、そんなの関係ないです! 」



「 君はお金持ちのお嬢様。
俺は犯罪者。釣り合うわけがない 」


「 そんなの気にしない!
地位や立場で、同じ人間を差別しない! 」



「 ………… 」


「 それでも、ダメですか……? 」

「 …………­­ 」




彼は、ずっと俯いたままだった。


これ以上言っても、
私の想いを信じてくれないだろう。




でも確かにそうだよね。

初めて会った人にこんなこと言われても、
全然信用出来ないよね­­……




「 寒い中、引き止めてすみませんでした…
こんなこと急に言われても、迷惑ですよね…
ほんとに、すみませんでした…… 」


彼に背を向け、歩き出す。


ああ、雨が降っててよかった。


初めての失恋をして、
泣いてるのをごまかせるから。






知らない道を、歩いていく。

どこにたどり着くんだろう。



私、このまま死ぬのかな……




さっきまでのことが頭から離れない。

彼との会話を、思い出していた。





もう一度、彼に会いたい。

彼のこと、もっと知りたいの……






「 ねえねえ、1人? 」



知らない男性に話しかけられた。


恐怖だった。




「 ねえ無視しないでよ。
今から2人でどっか行かない? 」


助けを呼びたくても、
辺りには誰もいなかった。



「 俺んちすぐそこだから、行こ? 」



私、この人に何されるんだろ­­…





知らない人に話しかけられるって怖いな…

彼も、さっき同じ思いをしたのかな…



ごめんなさい……







「 ほら、行くぞ 」



強引に肩を組まれる。

恐怖で声も出ない。




誰か…助けて……




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