仮眠室で愛を叫べば
五つ上、ちょうど宮前先生と同い年になる兄と私は一緒に暮らしている。


結婚の決まった兄は、来月には彼女と住むために私は一人で暮らすことになるのだ。

バタバタと電車に飛び乗り待ち合わせの病院の最寄り駅、K駅に向かう。
今日のデートはまるで宮前先生の真意がわからなかった。

私を諦めさせるために、佐久間先生の顔を立てて、わざわざ会う約束をしたのかもしれない。

あれから回りから聞いた宮前先生の評判は散々なものだった。

゙顔はいいが性格が悪い"

それでも佐久間先生は私に見る目があるなと言っていた。

きっと心をひらいた親しい人たちに見せる彼の素顔は違うんだろう。

変な情報に振り回されるのはやめよう。
先入観をもたずに宮前先生を見てみようと心に決め流れる景色をぼんやりと眺めた。







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