仮眠室で愛を叫べば
改札待ち合わせだったので、てっきり電車で来るものと思っていたら、先生は車で来たらしい。

あと少しで到着するところで信号無視した車に突っ込まれて救急車で自分の病院に運ばれた。

それが遅れた原因だった。

「大丈夫なんですか?
お怪我は?」


「あぁ大丈夫。
軽いむち打ちと眼鏡を踏んで壊したくらいかな」

と苦笑いした先生が眼鏡をかけていないことに納得した。

救急外来担当で居合わせた佐久間先生が、運ばれてきた宮前先生に驚き、すぐに長田先生に連絡をとり私の連絡先を聞いてくれたそうだ。

「すみません、気がつかなくて。
先生、帰りましょう。
今日は自宅でゆっくりしてください。急いでここまで来ていただいてありがとうございました。
お大事にしてください。」

残念だがしかたがない。
そういって頭を下げて帰りかけた私を先生が引き留めた。

「 腹へった。
メシ付き合ってよ。」 と。
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