仮眠室で愛を叫べば
「ごめん。」

先生はぽつりとそう呟くと私に手を伸ばした。

溢れてくる涙を大きな手がそっとぬぐう。


「…でも、想像以上にいいコだった。

一時間も黙ってまっててくれて、心配までしてくれて、待たせたのに帰ろうとするし。

食事代もさりげなく手渡してくれて。
おごられるのも当たり前じゃなくて。

もっと一緒にいたくなって映画も誘った。

さっきも買い物があるなんてここで別れる口実なんだろ?

ごめん、利用して。

……俺を今度は利用しないか…

佐久間を忘れるために俺を利用すればいい。」

何を言っているのかがわからなかった。
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