仮眠室で愛を叫べば
振り返ると眼鏡をかけた宮前先生が不機嫌そうに立っていた。

「佐々木先生、田中さんのデーター」
片手にもっていた資料を宮前先生は突きだした。

「あぁ、ありがとう。
…聞いてたんだろ?今の話。
岡本さん内科だけじゃなくて口腔ケアで入ってる病棟の男性スタ…ッフから人気あるよ?」

「知ってますよ」

目の前の佐々木先生を睨み付ける宮前先生は、不機嫌さを隠しもせずに低い声で答えた。

「…仕事中だろ?
いつまでもさぼってんなよ」

先生の鋭い視線は佐々木先生から私にうつる。

「はっはい!失礼します!」
行きかけた私の背後から先生の穏やかな声が聞こえた。

「佐々木先生、余計な心配は不用ですから。
俺は手放すつもりないんで」

思わず振り向いた私の目にはふっと笑う宮前先生の姿があった。

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