仮眠室で愛を叫べば
「きた、むら、先生、、、」

手にしていコンビニの袋が音をたてて私の手から滑り落ちた。

私の家からそっと姿を現した人物に身体が震えた。

ゆっくり後ずさる私に気がつき

「久しぶりだね、恵」

にたりと笑い一歩ずつ近づいてくる。


「俺がいるのにずいぶん宮前と仲良くしてるみたいだね。

それだけじゃない。
誕生日も男を家に連れ込んだよね。
ひどいな。恵。
俺という婚約者がいるのに他の男と仲良くするなんて。

罰を与えないとだめだね」

怖くて声がでてこない。

足もすくみ後ずさるスピードよりも距離を詰めてくる北村先生のスピードが上回る。

伸びてきた手が私の首にかかる。

「やめ、て、、、」

苦しさにもがきながら後ずさる。

遠のきかかる意識に北村先生の顔が近づきそらした頬に唇が掠める。

「いや、助けて、、、」

瞬間首を離れた手が私の肩をトンとおした。

身体がふわりと浮いた瞬間私の手が虚しく空を切る。

追い詰められていた階段から突き落とされた。

「 罰だよ恵」


遠退く意識に、ふっと笑う大好きな圭吾の顔が思い出され、そのまま激しい痛みと頭から流れ出る血が私の顔を赤く染めていた。





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