仮眠室で愛を叫べば
唇が離れた時、まっすぐ目を見つめて私は口にした。
「圭吾、別れよう。
私たちは別れてるんでしょ?」

「恵、思い出した…?」

「ううん、ところどころ記憶が、戻るときがある。
さっきのやりとりとか。
でもそれはまだ点にすぎなくて、繋がった線にはならないの。

教えて。本当のこと。携帯にあるさよならのメッセージの意味を」

彼の瞳が揺らぐ。
「わかった。
明日、明日でいいか…。
同じ時間に来る。そのときに全部事故の前後にあったこと全部はなすよ。
今日はもう帰る。
恵、お休み」

「お休みなさい…」

唇にそっとふれ、涙が頬を伝う。
揺らいだ彼の瞳とすぐに否定しなかったことが私の言葉は事実だとつげている。

「なんでキスするの…。
忘れるのが辛くなるよ…」
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