Avenir
「お嬢様、その調子です。」
いつも通りの言葉。
いつも通りの時間。
なんてことのない日常の1ページ。
そんなことを思いながら私は今日もヴァイオリンを弾いていた。
(つまらない……。)
そして弾き終わると、先生はいつも通り褒めた。
「本日も素晴らしい演奏でした、お嬢様。」
「ありがとうございます、香織先生。」
「では、来週はこの曲を課題にしますので練習をしておいてください。」
そういって渡された曲は『シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調』だった。
「わかりました。」
「では、本日はここまでにしましょう。」
「ありがとうございました。」
そういってお辞儀をしたら、先生は帰っていった。
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