サマー・リフレイン
私の声は届いていないのか
彼女は階段を駆け上り
屋上のドアを勢いよく開け
飛び出していく。
屋上から見える空は
青く澄み切っていて
遠くには入道雲が見える。
「まってよ」
私は肩で息を切らしながら、
彼女に近づく。
彼女は頬を赤くし
「来ないで」と言いながら
後ずさる。
彼女の背後に
屋上のフェンスが見えて
私は足を止めた。
話をしたい。
ちゃんと――
「何で逃げるの」
私の問いに答えず
彼女はフェンスをよじ登り
反対側へ行ってしまった。