君の罠 【改訂版】
恋に落ちた日を、君は覚えていますか---
青山遥(アオヤマハル)
城西高校2年
例えば女子生徒10人に「ハル君はイケメンか」と聞いたら、8人は「YES」と答えるだろう。そして残りの2人はきっと「タイプじゃない」と答える。
ハル君は、そんな人だ。
身長は180㎝もないらしいけれど、チビな私からしたら充分に高く、中学三年間を水泳部で過ごしたせいか、一見華奢に思える身体には程良い筋肉がついていて、スタイル抜群と言っても大袈裟ではない。
短く切りそろえられた黒髪は、学生らしくて珍しいわけでもないけれど、ハル君のそれは何故だか清潔感に溢れていて、爽やか且つ知的に見えるから不思議だ。
着崩すことのない制服と、実は学校指定ではない茶色のベルト。
最近伸びてきている前髪に隠れているけれど、その涼し気な目元は綺麗な二重が印象的で、鼻はすっと直線的に伸びている。
薄い唇から紡がれる声は、心地の良い低音を奏でて、ずっと聞いていたくなる。
ハル君は格好良い。それ以上の言葉が見つからないほどに。
それでいて、性格も良いのだから困る。
男子生徒は口を揃えて「あいつは良い奴」と話すし、女子生徒からはもちろん人気者で、ハル君の周りには自然と人が集まってくる。
特別とまでは言わないけれど、優しい太陽のように人を惹きつける存在であることは間違いない。
そんなハル君に、今日も私は恋をする。