元社長秘書ですがクビにされたので、異世界でバリキャリ宰相めざします!【番外編】
まだまだ語りたいので番外編にまであとがきつけちゃうよ!こんにちは桃城猫緒です。
こちらの作品の本編、もっと小ネタいっぱい挟みたかったんだけどさすがに本筋から逸れちゃうし、何より文字数多すぎなのであきらめざるをえなかったのですが、おもろいネタいっぱいあって聞いてほしいのでここに書いちゃいます笑。
何度だって言いますけどこの時代、ほんとーに面白い役者が揃ってる時期でして。ウィーンの音楽家にスポットを当ててもベートーヴェン、シューベルト、シュトラウス父子が揃っていた時代なんです。
ここでひとつ私の好きな小ネタを。多くの有力貴族や大公からまで支援を受け、ウィーン会議の音楽会でも指揮を務めたベートーヴェン。当然クレメンス様も彼にあったことがあるはずなんですが、何故かその記録がないんですね~笑。手紙などの交流もなければ、どちらも日記にすら書かなかったということでしょう。言い換えれば、お互い書き残す価値もないと笑。
宰相という行政官の頂点に立ち、ファッションから立ち振る舞いまで優雅で美しいクレメンス様と、身長が低く身なりも気にしなくて芸術的な才能を持たない人間は例え王族でも尊敬しないベートーヴェン。うん、相容れなさそう笑。
真逆なタイプのふたりの華麗なスルーっぷり、すごく好きです。これ作中で書きたかったなあ!
(あ、でも、クレメンス様は楽器いろいろ弾けるし、余興で自ら楽団の指揮をしたこともあるとかで、かなり音楽の才能にも秀でた人なんですよ!ベートーヴェン的には視界に入っていなくとも笑)
あと、ベリカフェで公開している本編の表紙にド下手くそなドイツ語で『クレメンス・メッテルニヒ様に捧ぐ』って書いてあるのですが、実はクレメンス様って恋愛小説読まない人なんですよ。マジで。
理由は「私の方が小説よりドラマチックな恋愛体験してるから」とかなんとか。あーもう本当にこういうとこ好き!笑
かの有名な文豪ゲーテも同時代に生きた人物でして、クレメンス様は彼とも会っているんですが、「きみのことは知ってるけど作品は読んだことがないんだ。ごめんね」と素直に言ったらしいです。ほんっとお前そういうとこだぞ!好き!笑
なので、この小説も捧げたところで天国の彼の目にはきっと入らないのです。ははは。
でも彼の遺した文章って時代的なものもあるかもしれませんが結構抒情的なのが多くて、
フランツ一世陛下を「私は彼のために生まれてきた」とか語ったり、人間としては大いに惹かれていたけど互いの立場上敵になったナポレオンに対し「この世に彼とふたりきりだったら幸せだったのに」と語ったり、カッスルリー外相に「あなたがいなくなったら私は独りぼっちになってしまう」と手紙を送ったり、なんつーか結構ドキドキさせてくれます…。
あと余談なのですが、実はクレメンス様が金色羊毛騎士団の勲章を授与されてたことを私知らなくてですね。肖像画を見ながらずーっと「この襟元のプレッツェルみたいのはなんなんだ……」って謎に思ってたんですよね。で、ある日別の肖像画を見てようやく「あー!!これオーストリアの金色羊毛騎士団勲章かあー!」と発覚したと。イラストの設定を送る前に発覚してよかったです笑。
そういえば今年は日本とオーストリアの国交150周年だそうで、あちこちで盛り上がりを見せていますね! ハプスブルク家の正当な末裔であるカール氏も来日されたとか。
今年この小説を発表したのは偶然ですが、ぜひオーストリアブームの端っこに乗らせていただきたいものです^^
偶然ついでにこの小説(文庫版)の校了日がクレメンス様の生誕日で、発売日が彼の没日(6月11日)とゲンツさんの没日(6月9日)に挟まれていることも記しておきたいと思います!すごない!?ナイス偶然!
クレメンス様のことばっか語ってしまったので他のキャラのことも語ろうと思います。まだまだ語るよ!
とりま、ツグミから。まあ彼女だけは実在のモデルがいない完全な創作キャラな訳ですが。
名前は『継ぐ身』から。転移後は死なずに誰かに成り代わって永遠に生きる身であることから付けた名前でした。なんか可哀想な名前だね。
四か国語が話せるという語学に長けているスーパーヒロインで、日本にいたときは恋人もいました。一応人並に恋愛はするんだけど、仕事優先なので恋人には塩対応になりがち。情事のあと、寝ている恋人の腕枕から抜け出し寝室の隅でノーパソを起ち上げて仕事するような女です。甘い余韻<<<越えられない壁<<仕事。
社長秘書時代のツグミのお話もいっぱい書きたかったなあ。社長秘書に抜擢されたエピソードとか、どうして同僚の秘書にひどい目に合わされたのかとか。
ちなみに髪型は大学時代はセミロング、高校時代はロングでした。
そういえば外反母趾という設定は文庫版ではカットになってしまいましたが、ちょっと気に入ってる設定です笑。
次はゲンツさん。実は一番お気に入りかもしれません…。
言うまでもなく彼は実在した人物でして。ただ彼の資料は彼の著書などについてのものが多く、プライベート的なことが描かれてるのがあまりなくて苦労しました;
わりとヘタレらしいのですが、肖像画は強面で男らしいんですよね…。っていうかキリッとしたイケメンで好みですわあ…モテなかったって嘘でしょ…。それはさておき、なんのかんのと師匠のカントに反論するような本を書いたり、クレメンス様とも何度も喧嘩してる辺り全然腰抜けではないと個人的には思ってたりします。
あと実は清廉潔白なタイプではなく、よろしくないお金をもらって記事を書くなどもしていたようで、ナポレオンに「哀れな文章家」と思いっきりディスられてます笑。
母方がユグノーの末裔らしいのだけど、もしかしてプロテスタントだったのかな。実は彼、若いうちに結婚しているのだけどドイツを出るときに離婚してるっぽいんですよね。『別れた』とあって、別居的なものなのか離婚なのかは不明なのですが、離婚だったのなら彼はプロテスタントということなのかな。
当小説では独身で不器用で情深い男として描かれてますが、もしもツグミと結ばれるようなことがあったら、ジャブジャブに可愛がるだろーなーと容易に想像できます^^ 「うちの嫁が世界一可愛い」ってあちこちで豪語するタイプ。超愛妻家で良夫賢父。でもツグミにはできれば仕事より妻として生きて欲しい、俺だけのツグミでいてほしいって欲求も抱えて悩みそうでもあります。
そんなゲンツさんとツグミのifも見てみたかったなーと、ゲンツさん推しの私はあれこれ妄想するのでした。
ちなみに実際のゲンツさん、晩年はわかーい恋人と暮らしていたらしいのですが、その恋人に教養をつけようとせっせと語学をおしえてあげてるんですよね。そういう面倒見のいいところ本当好き。
ライヒシュタット公。
執筆前は彼が最推しでした。いや、今でもすごく好きだけどね。
とにかく美形。スタイル抜群。めっちゃ頭いい。トークも上手い。マジスパダリ。若くして亡くならなければ、ウィーンの鳥かごから放たれていれば、いったいどれほど歴史に名を刻む人物になったことか。本当に惜しい王子です。
彼が一番史実に近いイメージで描けたのではないかと思ってます。たぶん。
当作品的にはゾフィーひとすじっぽく書かれてますが、恋の噂は結構あったらしく。ただプロケシュさんが「どれも本気じゃなかった」的な証言もしてるので、やっぱり本命はゾフィーだったのかなあと思います。
もし当作品のライヒシュタット公が健康な青年だったら、あちこちに無邪気に手を出す天然小悪魔になってた可能性が大ありです。ゾフィーのことが好きなのにどうしたって妻には出来ない現実にむしゃくしゃして手あたり次第女遊びするものの、余計虚しくなって凹んだり。多分ツグミにも冗談交じりにちょっかいかけてたかも。「たまには僕とデートしない?」みたいな。当然ツグミに叱られます。そんでいじける。そんな未来も見たかったなあ。
ゾフィー。
当作品ではだいぶ幼く書きましたが、実際は結婚当初から女傑の貫禄を漂わせていたそうです。非常に聡明で、宮廷でどんどこ味方を増やしていったとか。
流産を二回し、なかなか子に恵まれず、宮廷であれこれ言われたそうですが「妊娠しないのは夫が悪い」と胸を張っていたそうで、非常に強くカッコいい女性です。しかもそのあと四人の男児とふたりの娘を産んでるからね。しかも四男以外はみんな有能。ハズレ王子が多かったハプスブルク家でこれだけ立派な王子を産み育てたのはほんとーにすごい。めっちゃ強い。カッコいい。
他国から嫁ぎハプスブルクの繁栄とオーストリアを強くすることに心血注いで生きた、まさに女傑、影の立役者です。惚れ惚れする。
かの有名なミュージカル『エリザベート』では意地悪なお姑さんとして描かれていますが、私は断然ゾフィー派なのです。
ラデツキー将軍。
当作品のオジサマ枠。白い軍服を着た肖像画が有名ですが、この頃まだ参謀軍中将なので軍服は緑です。……と思っていたけど、肖像画の軍服が水色で混乱している私です。ぐぬぬ。
ちなみに彼ものちに金羊毛騎士団勲章を授与してます。カッコいい。
80歳を過ぎてもイタリア独立運動の鎮圧の指揮を執っていたすごいお方で、サルディーニャ王国とか何度戦ってもラデツキー将軍出てくると絶対勝てないみたいな流れになってるのほんと面白い。ラデツキーSSR。
彼とツグミの絡みはもっと書きたかったです。特にツグミに馬の乗り方教えてあげるエピソードは詳しく書きたかった。訓練兵用の乗馬ブーツを貸そうとしたけど、ツグミの脚が小さすぎてどれも合わなくてボーゼンとしながら内心萌えてるラデツキー将軍が書きたかったよ……。
非常に長生きし80を過ぎても軍人として活躍したラデツキー将軍ですが、死因はなんと床のワックスに滑って転んだからだとか。若いころに占い師に「軍人としては死ねない」と予言されたそうですが、まさかそんな最期を迎えるとは…色々驚きです^^;
そんな感じで語りに語りまくってスッキリしたので、この辺で締めたいと思います。
ツグミとクレメンス様とゆかいな仲間たちの物語にお付き合いくださって、どうもありがとうございました!
2019.6.8