皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
しかし、皇帝の住まいであり政の中心地の昇龍(しょうりゅう)城よりずっと南方に位置する辺境の地で暮らす私、朱麗華(しゅれいか)には関わりがなさ過ぎてよくわからない。
「麗華、じいさんが調子悪くてな。ちょっと頼むよ」
「わかりました」
私の家に走り込んできたのは、五軒ほど先に行った家に住んでいる、十八になる私の父親くらいの歳にあたる超(ちょう)さんだ。
私は身支度を整えて早速家を飛び出した。
この家は父が建てたものだが、父も母も一緒に住んではいない。
というのも、ふたりとも原因不明の病に倒れて次々と亡くなったからだ。
兄弟もおらず、今は私ひとりで暮らしている。
慌てていたせいで、家を出てすぐに随分背の高い男とぶつかり尻もちをついた。
「すみません」
ふと見上げると、見たことのない男性三人が立っている。