皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~

でも劉伶さま、ちょっと体調が悪そうだわ。

はっきりとなにがとは言えないけれど、ふとそんなふうに感じた。


「私は伯(はく)劉伶。この無駄に凄みがあるのが孫(そん)玄峰。そしてこっちが宋(そう)博文。名前を聞いてもいい?」

「は、はい。朱麗華と申します。急いでいたのですみませ……あっ!」


超さんの家に行かないといけなかった。


「失礼、します」


結局、その三人が何者なのかわからないまま頭を下げ、その場を走り去った。


超さんの家に着くと、顔面蒼白のおじいさんが力なく横たわっていた。


「どうされたんです?」
「少し前から食欲がなくて。食べないもんだから余計に弱ってしまって」


超さんから話を聞きながら、すぐさま顔色を伺う。
すると唇が荒れていた。


「便はどうですか?」
「柔らかいです。あとは口の中にできものができて痛いと訴えます」


それを聞き、うんうんとうなずく。
これは“気虚(ききょ)”の状態ね。
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