皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~

「脾が弱っているようですね。今から言うものをそろえてください。まずは杜仲茶、棗(なつめ)、黒糖、もち米、それと南瓜(かぼちゃ)もあるといいですが、もうないでしょうか?」


おじいさんはここ一年位体調が思わしくなく、飲み込みやすいものばかり取っている。
そうでないと嚥下できないからだ。

私はそれを念頭に献立を考え始めた。


「南瓜……いくつかあるはずだ。持ってくる」


南瓜は夏から冬にかけて収穫できるが、三月ほどは保存がきく。
だからもしかして三月の今も手に入るのではと言ってみて正解だった。


「よかった。それでは、先に調理をしておきます。厨房をお借りしますね」


私は早速厨房で料理を始めた。

鍋に洗ったもち米と多めの水、そして棗を入れて火にかける。
棗は脾の動きをよくして胃腸の調子を整える効果がある。

活動の源となる“気”が不足している気虚という状態のときに摂取すると効果があると言われていて、こうしたときは体を温めるのが基本だ。
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