皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
お茶を匙で口に運んでいたお嫁さんの横に行きおじいさんに話しかけるが、反応が薄い。
「飲めていますか?」
「少しずつだけど」
戻すことがなさそうなら、食べてもらおう。
くたくたに煮込んだ粥をお嫁さんに渡して、じっと口元を見つめていると、しばらく咀嚼してから飲み込んだ。
「よかった……。食べて体力を回復してください」
そう訴えると、おじいさんは初めて小さくうなずいた。
「麗華、ありがとう。医者に見せるのも大変だから、麗華がいてくれると助かるよ」
超さんが安堵の胸を撫で下ろしている。
「いえ。私にできることは限られていて、とてもお医者さまの代わりなど務まりません」
辺境の地であるが故、この村には医者がいない。
歩いて五十分くらいのところに診てくれる医者はいるが、病人を連れていくのは至難の業。
ましてや来てもらうのにはかなりのお金がかかり、細々と野菜を市で売って生計を立てている貧しいこの村の人たちが呼ぶのはそれまた不可能に近い。