皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~

実は私の両親もそうだった。
もしかしたら医者に診せれば今頃元気だったかもしれないが、それができなかった。


もともと料理が得意だった私は、それから薬膳料理に関する書物をなけなしのお金で手に入れて学び、こうして体調を崩した人の家に呼ばれて、料理を振る舞うことを生業にしている。

といっても、誰かに師事して学んだわけでもなく、私にはごく一部の知識しかない。

しかし、医者に診てもらえない村の人には重宝されていて、あちらこちらから声がかかるようになった。


超さんからお金をいただいたあと、自分の家に戻る。


「よくなるといいけど……」


私にできることはたかが知れている。
もちろん、看病の甲斐なく亡くなる人も多いので自分の無力さを呪いたくなることもある。

けれど、回復する人もいるのだから、できることはしたい。
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