お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
三カ月ぶりの、彼の温もり。愛おしくて、切なくて、胸が張り裂けそうだ。

ずっとこうしてほしかったのに、自分から遠ざけた。そのフラストレーションが鬱積して、自分の首を今でも絞め続けている。

「もう逃げないでくれ。俺と向き合ってほしい」

さぁっと風が吹いて、頭上でもみじがさわさわと音を立てる。

紅と緑が揺れて、混じり合う複雑な色合いは私の心を表しているかのようだ。

プロポーズをしてもらえるなんて、正直言って夢みたいだ。私の心は三カ月前のあの日、彼に落とされたままだから。

でも、突然結婚なんて言われて、受け入れられる……?

しかも相手は、いずれあの大企業の社長となる人。

私と彼の繋がりは、たった一日しかない。食事をして、夜をともにすごして、それだけなのに。

この先一生添い遂げるだなんて、誓える?

困惑してなにも言えずにいると、彼が私の後頭部に手を置き引き寄せた。

彼の胸に耳をつけて、ドクドクと昂る鼓動を聞かされて、蘇ってきたのは、彼に抱かれたあの日の記憶。

私の鼓動までドクドクと高鳴りだして、否応なしに頬が熱くなる。
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